第5章 vs大王様
火曜日放課後
荷物を持ってバスへと向かっていると後ろから声を掛けられる
「白石先輩、俺持ちますよ」
影山君がそう言いながら私の横に並ぶ
『軽いから大丈夫だよ〜?でもせっかく声掛けてくれたから、半分お願いしようかな?ありがとう、影山くんは優しいね!』
影山君に荷物を半分渡すと
顔を背けながら
「うス‥」
と返事して荷物を半分持ってくれた影山君の耳が少し赤い
影山くんって怖そうに見られてるけれど
本当はとっても優しいんだな!
わっ?!
2人で歩いていると後ろから急に残りの荷物をヒョイっと持ち上げられる
『へっ?月島君?!持つから大丈夫だよ〜!』
手を伸ばすけれど
身長の高い彼が上に手を伸ばした荷物に手が届く訳もなく
「花澄さん、持ちますよ。」
『月島君も優しいなぁ‥ありがとう』
月島君にお礼を言う
「どういたしまして」
と私に頭を下げた後隣にいる影山君をチラリと見る
そしてフッと笑みを浮かべてそのまま行ってしまった
なんだったんだろう?
隣で影山君がなぜか機嫌が悪そうな顔をしている
みんな仲良くなってくれるといいな
バスに乗り込むともう皆んな乗り込んでいた
潔子さんの隣が空いていたのでそこに座らせてもらう事にした
『潔子さんお隣失礼します!』
「どうぞ!待ってたよ」
優しく微笑んでくれる潔子さんはやっぱり素敵だ
暫くすると突然龍の叫び声が聞こえる
「うわぁぁぁあ!止めて!バス止めてぇええ!」
何事かと思ってバスを止めてもらい駆け付けると
顔色の悪い日向君が龍のズボンの上にリバースしてしまっていた
『日向くん!大丈夫?!とりあえず口ふこうか?』
潔子さんが龍にタオルとビニール袋を渡してくれる
『龍はとりあえず汚れた服着替えてここにいれてくれるかな?』
「おっおうっ!」
龍が席を立ち着替えに行くので日向君の隣に座る
ハンカチと水を渡して背中をさすりながら顔を覗き込む
出発する前から何だか様子がおかしかったけどやっぱり緊張してるのかな?!
私達が心配していた予想より遥かにヤバそうな日向君
パッと顔を上げると心配そうな顔をした大地と菅原さんと目が合う
どうなっちゃうんだろう?!
不安な気持ちのままバスは青城高校に到着した