第18章 *近くなった距離
月島side
「はー‥疲れた‥‥」
ハードな練習を終えて
やっと辿り着いた自分の部屋
どさっとベッドの上に身体を投げ出す
このまま眠ってしまいそうな程の疲労感に目を閉じるが
さっきみた写真を思い出して目を開く
「あんな無邪気な顔して男2人と写真なんか撮って‥」
子供みたいにはしゃいでいる姿が目に浮かぶ
思わずふっと微笑むと階下から母親の声が2階にまで響く
「蛍〜?お母さんお友達と夜ご飯食べに行ってくるからお留守番宜しくね!ご飯は作って冷蔵庫に入れてあるからしっかり食べなさいよ〜」
「はいはい‥」
バタバタと家から出て行く音がしてまた目を閉じていると
暫くしてインターホンがなった
「宅配か‥?」
このまま無視しても良かったが
わざわざこんな時間に指定したということは今日受け取りたいものなんだろう
重い腰をあげて階段を降りて行く
その時にもう一度なったインターホン
「そんな何回も押さなくても今から出るって‥」
モニターを確認せずにガチャリと玄関の扉を開くと予想外の人物がいて思わず眉を顰める
「花澄‥さん?」
『月島くんごめんね!これ渡したらすぐ帰るからね!』
「え‥?これだけの為にわざわざ帰りに来てくれたんですか?」
『えっ?!うんっ!なかったら困るかなぁと思って』
両手を伸ばして差し出されるのは課題のノート
恐らく教室に忘れて帰ったものを担任がバレー部の誰かへと渡したのだろう
確かに
明日提出する為に今日持って帰らないといけなかったけど
「この後何か予定あるんですか?」
『予定‥?今日は別にないよ?』
「ちょうど良かった‥帰り送るんで、夜ご飯一緒に食べませんか?」
冷蔵庫の中には僕1人じゃ到底食べきれない程の量の晩御飯が用意してあるのはわかっていた
『でもっ‥突然お邪魔するのもご馳走になるのも申し訳ないから大丈夫だよっ‥』
「今日僕1人なんです。ご飯も食べきれないし‥わざわざ持ってきてくれたお礼って事で。いいですよね?」
『月島くんがいいならっ‥お邪魔します』
有無を言わさない勢いでぐっと顔を近付けると小さくこくりと頷いた
突然舞い込んできたチャンス