第18章 *近くなった距離
澤村side
体育祭ぶりに一緒に歩く帰り道
楽しそうに部活のことを話す相変わらず可愛い横顔
ほんの数日ぶりなのに
なんかそわそわしてしまう
本当は東京での事も聞きたいのに
色々話していたらもう家の近くまで帰ってきてしまった
また明日でも聞けばいいかと思っていると急にハッと思い出したような顔をする
月島に渡すものがあるとか言って
くるりと踵をかえす
「明日じゃダメなのか‥?」
反射的に手首を掴んでしまうときょとんと大きな目が見開かれる
子供みたいな駄々をこねて引かれたか?
それでも月島のところへ行かせるのは嫌だった
本当なら一緒について行きたいところだが
今日はこの後歯医者の予約を入れてしまっていてついて行くことが出来ないからだ
『渡したらすぐに帰るから大丈夫だよ!意外と月島くんのお家近かったしね!』
まさか俺が嫉妬してるなんて夢にも思っていないような笑顔で優しく笑う
「絶対だぞ?」
『うんっ!』
「大会終わったらまたゆっくり会えるか‥?」
なんか離れがたくて掴んだ手に指を絡めると少し頬が赤く染まる
『おうちこんなに近いからいつでも会えるよ?』
「そうだな‥」
自然と見上げてくる大きな目
吸い寄せられるようにして唇を重ねるとぴくりと肩が揺れてより一層顔が赤くなった
そのまま柔らかな髪を撫でる
『ッ‥』
ぴくんとまた揺れる身体
恥ずかしそうに染まる頬は
前までとは少し違う感情が俺に芽生え始めてるんじゃないかと期待させて自然と体温が上がってしまう
「可愛いな‥」
少し屈んで柔らかな髪を耳にかけて指先で耳朶を撫でる
『ッ‥耳元でしゃべっちゃだめ‥っ』
まるであの日を思わせるような甘い声と色気を含んだ反応に俺自身の熱がむくりと反応してしまう
「これ以上可愛い顔すると襲うからな?」
ギュッと抱き寄せると身体に触れた俺の熱に気づいたのかハッと見上げてくる
『大地‥すぐ帰ってくるから‥っ』
「約束、な」
正直身体はどうしようもないほどに火照っていたが
おでこに優しくキスをして渋々花澄を送り出した