第17章 東京*
大地がこしょこしょと私の弱い脇腹をくすぐってくるから堪えきれずに涙が出る
『ゃっ‥もうっ‥こうさんっ‥!!』
「まぁ‥これくらいにしといてやるか」
そう言うと満足げに両手を組んでにやりと笑う
「東京‥気をつけてな!それと‥‥今日の花澄、一生懸命で輝いててまた惚れ直したよ」
さっきまでの悪戯っこみたいな顔してた大地が優しく微笑んで
いつもみたいに頭を撫でてくれる
安心する
優しい笑顔
『あ‥ありがとう‥!』
2人で出る体育祭は今回が最後だから
なんだかちょっと寂しくなってきちゃって少し下を向くと
さらにわしゃわしゃと激しく頭を撫でられる
「最後に、写真撮るか!」
『え‥?!』
ふいに撮られた写真
『絶対今目つむっちゃった‥!』
「大丈夫!ほら、可愛い」
大地が見せてくれた写真の中の私はしっかりと目を瞑ってしまっていて間抜けな顔をしていた
『え〜っ?!すっごい間抜けな顔してるよ‥っ!』
「いいのいいの!さっ‥そろそろ帰るか!」
さっきまでの少ししんみりとした空気を一掃するようにニカっと笑って背中を押される
『じゃあ‥またね、大地』
「ん、お土産楽しみにしてる」
バイバイと手を振ると大地も手を振り返してくれて
そのままお家に入ろうとするとあっ!と大きな声をあげる
『どうしたの?忘れ物‥?』
「忘れてた‥体育祭終わったら聞こうと思ってたこと‥」
『お部屋入る?』
「いや‥玄関でいい」
玄関の中に2人で入るとじっと目を見つめられる
「あの日‥及川ん家に行った時の約束‥覚えてるか?」
『及川さんのお家に行った日‥?』
「及川も狙ってるはずだから気をつけなさいよって話」
俺以外とはこんな事しない事
お風呂場の中で話した内容が頭に浮かんでくると同時に
熱で体温の上がった及川さんとした行為の事を思い出してバッと身体が熱くなる
『っ‥』
咄嗟に言い訳も出てこなくて
何をどう話したら良いのかも分からなくて一瞬言葉に詰まってしまうと何かを察したのか大地の目が大きく見開かれた
「まさか‥とは思うが‥‥」