第16章 体育祭本番
澤村side
校門から花澄と一緒にでると案の定外には出待ちしていた他校の生徒達がいた
「なんだ‥男と一緒かよ‥」
そいつらがざわざわと騒ぎ出す
『そういえば、大地は東京のお土産何が良い?』
「え?東京?」
まさかこの男達が自分の事を狙って待っていたなんて
夢にも思ってないような呑気で可愛い顔して見上げてくる
『あれ?言わなかったっけ?今度の月曜日、体育祭の代休で学校お休みでしょ?お兄ちゃんの東京出張に一緒について行く事になったから大地はお土産何がいいかな〜って』
「そうだったけか‥?お土産‥ねぇ‥花澄が買ってきてくれるんなら何でもいいな!」
『そう?じゃあ‥‥何か美味しいもの探してくるから一緒に食べようねっ』
「楽しみにしてる」
そんな話をしながら歩く帰り道はあっという間に時間が過ぎて
まだ離れたくないのにもう家の前に着いてしまった
『じゃあ‥次はインターハイ予選!また頑張ろうね』
「そう‥だな!!頑張ろう!」
『疲れちゃった‥?大丈夫?』
どうしてか今日はいつにも増して離れ難くて
それが態度に出てしまっていたみたいだ
「ごめんごめん!大丈夫!」
『‥大丈夫だよ!きっとうまくいくからね!』
俺が部活の事で悩んでいると思ったのか
力強く両手をギュッと握ってくれる
そんな花澄が
やっぱりどうしようもなく好きだ
「あー‥やっぱ誰にも渡したくないな‥‥」
両手を握ってくれた花澄の身体を抱き寄せて
俺の腕の中に収めると
両手がそっと背中に回される
何回考えたって答えは同じだ
誰にも渡したくない
そんな俺を優しく諭すように小さな手が背中を撫でる
『みんなで、がんばろうね』
「頼りにしてる」
ぐっと抱きしめる力を強めると柔らかい笑い声が聞こえてくる
『最近の大地、子供みたいでなんだかかわいい』
どこまでも鈍感な幼馴染にふっと身体の力が抜ける
「誰が子供だって?」
『ひゃあっ‥!やめっ‥くすぐったい‥よ‥っ』
抱きしめていた身体を少し離して無防備な脇腹をくすぐると顔を真っ赤にして抵抗する