第16章 体育祭本番
澤村side
無事に体育祭を終えて
グラウンドから椅子を運び出そうとしていると一際目立つ人
花澄の兄さんがきていた
『お兄ちゃん来なくても良いよって言ったのにぃ‥わざわざ会社抜けてこなくても‥』
「そんな訳にもいかないだろ〜?だって俺の可愛い妹が応援団でるなんて言われてさ!見ないなんか選択肢ある?!」
相変わらずのシスコンっぷりについ笑ってしまうと兄さんに気付かれた
「大地〜!応援団かっこよかったな〜!まさに主将って感じで!!なぁ?」
『うんうんっ!大地、とってもかっこよかったよ!』
きらりと眩しすぎる笑顔を容姿端麗兄妹に向けられて思わず目を逸らしそうになる
「大地‥‥今年も帰り宜しく頼むな‥俺は会社に戻るから‥」
こそっと耳もとで話すと兄さんは颯爽と帰って行ってしまった
『お兄ちゃんなんて‥?』
きょとんと俺を見上げてくる花澄の頭をくしゃりと撫でる
「帰り一緒に帰ってくれって」
『またそんな事‥子供じゃないのにねぇ?いっつもお兄ちゃんがごめんね』
何にも知らない花澄が目尻を下げて困ったように笑う
去年の体育祭終わりもそうだったけど
出待ちをするように他校の生徒が花澄を待っているから
過保護な兄は妹を俺に託した
「まぁまぁ‥気持ちは痛い程よく分かるからな」
『また大地までそんな事言う〜』
俺にまで子供扱いされたと思ってぷくっと膨れる頬っぺた
その可愛さに胸がドキッと跳ねる
思い返せば今日1日だけでどれほどドキドキとさせられたか
応援団の時の真剣な瞳
強くて真っ直ぐで綺麗で
みんなが頑張る姿をみて
子供みたいに飛び跳ねて
リレーで俺に襷を渡したときの顔
こんなにも毎日一緒に過ごして来たのに
好きが大きくなっていくばかりで
「ほんとに‥‥困った幼馴染だ」
いつもみたいに頭を撫でるとふわふわと乱れた前髪を両手で押さえながら笑う
『今日の大地、一生懸命でとってもかっこよかった!もちろんバレーの時もなんだけどっ‥その‥っ‥リレーの時とか‥応援団も‥!』
少し興奮した様子で話す姿はやっぱり可愛くて
また好きの気持ちが大きくなった