第16章 体育祭本番
月島side
ぴょんぴょんと一生懸命跳ねてパンを口にいれようとするけど
背の低い花澄さんはなかなか届かない
手は後ろで縛られているし
飛ぶたびに大きく胸が揺れて
口を開けてパンをとろうとしているから相当刺激的な絵面だった
「はぁ‥‥見てられない‥」
「なんだかイケナイものを見てる気分だねツッキー‥‥」
隣で山口も顔を赤くして目を隠す
周りの男子達もごくりと唾を飲む
他の走者達が次々とパンをキャッチしていく中
いまだ花澄さんだけが必死に頑張っている
あんな可愛い姿
誰にも見せたくないのに
イライラが募っていく
さっきまでの応援団だって殆どの奴等の視線は花澄さんに向けられていた
「‥‥‥」
「ツッキー?!!目が怖いよ?!」
「がんっばれーーー!!花澄さーーーん!!」
バカみたいにでかい声で日向が叫ぶ
その声に反応してふにゃりと微笑んで
もう一度パンに向かって跳ぼうとした時さらにでかい声が聞こえてきた
「せんせーーーっ!これ以上は見てられねぇ‥!練習の時より位置が高いから花澄には無理だ!」
「頼みます先生!!俺がパン食べるんで!!もう行かせてやってください!」
突然乱入してきた田中さんと西谷さんに先生達が目を見開いて
周りの生徒達が笑い出す
「でた!!バレー部!!」
「でも確かにこれは可哀想だよね!花澄ちゃんもう走っちゃいな!西谷がパン食べてくれるって!」
そうだそうだと花澄さんのクラスメイト達も声を上げる
そんなクラスメイトたちに囲まれながら
真ん中で恥ずかしそうに少し顔を染めて戸惑っている
「まぁ田中達の言う通りだな‥ちょっと気合いいれて高くしすぎた!白石、行っていいぞ!」
先生にそう言われて今度はぺこりと頭を下げて走り出した
ほっと胸を撫で下ろすと次の競技の準備のために移動しはじめた3年生達が後ろを通る
「あの2人‥やっぱ最高だべ!」
「いやぁ‥まさかあそこまでするとは思わなかったがな、助かった」
主将と副主将が笑いながら歩いて行った
こうして無事に?最後まで体育祭が終了した