第15章 *烏野高校体育祭
じっと私を見つめる大地の目が怪しむように乱雑に巻かれたさらしを見つめている
月島くんにしてもらっただなんて言ったらきっと大地は怒るから
絶対に言えない
『そうなのっ!私‥テーピングの巻き方とか包帯とかっ‥!勉強してるからっ!さらしも巻き直せるの‥っ!』
「その割には‥多少乱れすぎている気がするが‥それにさっきから顔も少し赤いような‥」
じりじりと壁際まで追い詰められる
『そうかなっ‥?それより早く帰ろっ‥!ね‥大地っ‥!』
昔からなぜか大地に嘘は通用しない
これ以上嘘を重ねるよりも
話題を変える方が得策だと思った
「まさか‥月島となにか‥」
壁際まで追い詰められて
逃げ場を無くした私の耳元まで大地の顔が近付いてきて
腰のラインを指先で撫でられて身体がぴくんと反応する
さらしを巻いていない素肌に手が触れて
さっきまでの熱が蘇ってきてまた体温が上がってしまう
月島くんの指とは違う大地の指がそのまま緩んださらしの隙間に滑り込んでくる
『ね‥大地‥っ‥』
直に触れ合う素肌に無意識に息があがって
熱い吐息がもれる
「そんな顔したら止まれなくなるでしょうが‥」
『っ‥』
余裕なく眉間に皺を寄せた大地の顔が迫ってきて
キスされる‥と思った時に大声が聞こえてきて慌てて大地と距離を取る
「あーっ!いたっ!何してんのー!早くしないと教室の鍵しめちゃうよー!」
『わぁっ!!びっ‥くりしたぁ‥!ごめんねっ!急ぐねっ‥!』
同じクラスの応援団のお友達がすでに制服に着替え終えて教室の鍵をぶんぶんと振っている
「ま‥話は体育祭のあとにでもじっくり聞くとするか‥」
『‥?』
まだ少し顔を赤く染めた大地がにかっと笑って私の頭を大きな手でくしゃくしゃと撫でる
「さっさと着替えて帰るか!」
『うんっ!』
連日の踊りの練習でくたくたに疲れた身体でなんとか制服に着替えて大地と合流すると
校門の前に見慣れた車が止まっていた
『お兄ちゃんっ!』
「早く仕事終われたから迎えにきた!大地も乗ってけ〜!」
こうして私達を乗せた車が帰路に着く
いよいよ明日は体育祭だ!