第15章 *烏野高校体育祭
澤村side
「結構時間かかったなっ‥もう花澄は帰ってるか‥?」
足早に廊下を歩いていると前方に見えてくる人影
遠くからでもその身長差ですぐに分かる
あれはきっと月島と花澄だ
歩くスピードを早めてどんどんと近付いていく
「花澄に‥月島?」
後ろから声を掛けてから気付いた
「なんで‥手‥繋いで‥」
『大地っ!お疲れ様っ‥!』
パッと振り向いた顔がほんのりとピンクに染まっている
そして離そうとしていた手をキュッと月島が繋ぎ止める
『月島くん‥?』
「僕‥花澄さんの事諦めませんから」
真っ直ぐに見つめてくる月島の目はやっぱり俺の気持ちはお見通しのようで
明らかにライバルとしてみられていた
「そうか‥気付かれてんなら仕方ないな!それなら俺も負けるつもりはないぞ!」
腕を組んで強気に笑ってみせたつもりだったが
月島のこんなに真剣な顔は初めてみて
内心ひやりとした
『2人とも‥?バレーの話‥?』
少し心配そうに俺たちの顔をきょろきょろと見る花澄
「ごめんごめん!そろそろ帰るか!ここまで送ってくれたんだよな?ありがとう月島!」
『そうだよねっ!一年生の教室あっちだもんね!送ってくれてありがとう月島くん!体育祭、頑張ろうねっ!』
花澄を奪い返すようにさりげなく肩を抱き寄せるとしぶしぶと手を離す月島
「はい‥では‥また体育祭で」
頭を軽く下げると一年生の教室に向かって歩いて行った
「で、何で手なんか繋いでたんだ?」
月島の背中が見えなくなると2人で2.3年の教室に向かって歩き出す
『なんで‥だろ‥?』
「これだから‥無防備は困る‥」
そして何歩か歩き出したところでふと違和感に気付く
「さらし‥‥そんな巻き方だったか‥?」
確かに練習の時は綺麗に巻かれていた胸元のさらしが
今はゆるゆると少し乱雑に巻かれている
『ん‥あっ‥これっ?!苦しかったから‥巻き直したのっ!じ‥自分でっ‥!』
明らかに取り乱し始める花澄
「ふーん‥自分で‥ねぇ?」