第14章 *熱
及川side
寝てる間に熱が上がりきったのか
汗で濡れた衣服が気持ち悪くて立ち上がる
さっきとはうってかわって
身体の熱さもなくなりすっきりとした頭の中
花澄ちゃんとの行為が夢の中の出来事かのように思えてきた
「シャワー浴びよ‥」
夢にしても
すっげぇリアルな夢だった
着替えを取ろうとクローゼットに歩き出すと見覚えのない洋服のようなものがベッドの下に落ちていて拾い上げる
「これ‥」
華奢な細い肩紐
繊細なレースがついたキャミソール
小さなサイズは
明らかに姉ちゃんや母ちゃんのものではなかった
「っ‥夢じゃないじゃん‥」
表情
肌の感触
熱く絡みつくナカ
全てが鮮明に蘇って来て体温が一気に上がる
立ち上がったベッドにへたりと座り込んで
そういえば花澄ちゃんが綺麗に剥いてくれたフルーツを口に放り込む
りんごがうさぎの形になってるし
こーゆうところもいちいち可愛いんだから
「とりあえず‥一歩前進‥か?」
飛雄とどこまでいってるのかも分かんないけど
負けるわけにはいかない
それでも半ば強引に身体を重ねた事で嫌われてしまってないか今更心配になって携帯を手に取ると花澄ちゃんからメッセージがきていた
『今日はしんどい中突然お邪魔しちゃってすみませんでした!そして挨拶もせずに勝手に帰っちゃってごめんなさい!及川さんが気持ち良さそうにすやすやと寝てたので、起こすの申し訳なくってそのままこっそり帰りました!また会えるの楽しみにしています!お大事に』
可愛い絵文字が控えめに使われていて
嫌われたわけではなさそうだった
それに
また会えるの楽しみにしてるなんて好意をもった相手にしか言わないよね?!
携帯をギュッと握りしめる
「っし‥よかった‥」
フルーツを全て腹に収めて
今度こそシャワーを浴びるために一階に降りて行く
「徹っ!どうだった?!」
「付き合えたっ?!」
母ちゃんと姉ちゃんが期待に目を輝かせて迫ってくる
「体調どうかよりそっちかい!」
騒がしい二人を無視して風呂場へと向かう俺の顔はきっとニヤけていたと思う