第14章 *熱
及川side
昨日の晩は楽しみすぎてなかなか寝れなかった
それだからか知らないが
朝起きたら妙に体が熱くて
体温を測ったら見事に熱が出ていた
「最悪じゃん‥」
幸い熱以外には何も症状がなかったけど
今日は来てもらうのも申し訳ないからメールを送った
はずなのに
水を飲もうと部屋を出るとなにか玄関の方が騒がしい
ゆっくりと降りていくと
そこには会いたかった花澄ちゃんの姿
「わざわざお見舞いにきてくれたみたいよー!良かったわね!」
母ちゃんが嬉しそうにニヤニヤと笑いながらバシッと俺の背中を叩く
『しんどい時にすみませんっ!これだけお渡ししたら帰ろうかと‥』
俺の為に持ってきてくれたフルーツ
「徹も熱出しちゃったから花澄ちゃんに会えないなーと思って私達映画の予約しててね〜もうすぐでかけるから2人でゆっくりしたら?」
俺の気持ちを知ってる姉ちゃんが気を利かせる
「そうね‥花澄ちゃんさえよかったらあがってって〜!」
姉ちゃんの意図を感じ取った母ちゃんもまた気を利かせる
『えっ‥でも‥及川さんが‥』
少し戸惑った花澄ちゃんの手をギュッとつかむ
「俺は大丈夫だからっ!ちょっとだけ‥」
『じゃあ‥お母さんとお姉さんがお出かけされている間、看病して頂いたお礼に、看病させてくださいっ!』
少し迷ったのちにぺこりと頭を下げる
「そうと決まれば私達行ってくるわね!花澄ちゃん本当にありがとうねー!」
こっちに向けてぐっと親指を立てて慌ただしく2人が出掛けて行った
「騒がしい母ちゃんと姉ちゃんでごめんね?とりあえず俺の部屋いこっか」
階段をあがろうとするとさっと俺の腰を支えるようにして一緒に上がってくれる
相変わらず天使な花澄ちゃんだけど
前会った時に比べて溢れ出る色気がすごいってか‥
女の顔?
俺もよく分かんないけど
ふと思い出すこないだの電話
可愛い声が聞こえて受話器越しにドキドキした
花澄ちゃんは1人って言い張ってたけど
嫌な予感がして後輩の名前を出してみる
「‥とびおちゃんとなんかあった?」