第13章 *それぞれの初めて
大地side
「大事で‥好き‥か」
純粋で無垢な花澄はいまだにきっと恋に気付いていない
純粋な心で
大事と 好き を伝えてくれる
『だいち‥?』
「ん‥ありがとな。俺も大事で大好きだ」
いつか本当の俺の気持ちに気付いてくれる事を願いながら
身体に残る甘い余韻に浸る
『おふろ‥あったかくてきもちいいね‥』
浴槽にためたお湯にたっぷりと白い入浴剤を入れて
満足そうに可愛い顔してふわりと笑う
向かい合って座るけど
白く濁ったお湯のせいで
身体はみえない
それでもお湯から少しみえる大きな胸の谷間と
華奢な肩
クリップでまとめ上げられた髪のおかげで見える綺麗な首筋に
また俺の欲が反応する
「気持ちいいな‥昔、泥だらけになって遊んだ時にこうやってお風呂一緒に入ったよな」
『えっ?!そ‥そうだっけ?!』
「そうそう‥まぁお互い下着は着てたけどな!」
身体についていた泥を流して
汚れた服を着替えた花澄は
疲れ切ってその後寝てしまったっけ
花澄との大切な思い出はどれも鮮明に覚えている
2人で積み上げてきた大事な思い出
これからは恋人として
思い出を作っていけたらいいのにな‥
見つめていた顔がみるみるうちに赤くなるからハッと我に帰る
「いかんいかん‥のぼせるから上がるぞ!」
『んっ‥ひとりであがる‥』
立ちあがろうとしてふらりとバランスを崩した身体をさっと支える
「ここは俺に甘えなさい」
細い腰に腕を回して
身体を支えたまま湯船からあがる
『‥恥ずかしい‥』
身体を隠していた白いお湯からでて
とろりとした目をしながらそんなことを呟く
「ほら‥しっかり掴まっとかないと倒れるぞ?」
華奢な身体を支えたまま浴室から出て
大きなバスタオルで身体を包む
ワシャワシャと髪と身体を拭いてやると
ゆるゆると下着に手を伸ばして
ゆっくりと身につけていくから俺もタオルで身体を拭く
「ただいまー!!今帰ったぞー!大地〜?花澄〜?」
玄関が勢いよく開く音がして
お兄さんの陽気な声が聞こえてきた