第13章 *それぞれの初めて
『ん‥っ‥わかんないっ‥』
「じゃあ‥思い出させてやろうか‥?」
『〜っ‥』
目の前で少し苦しそうに眉を下げる大地の顔が
なぜか私を求めているようにみえて心臓がドキドキと騒ぎ出す
『そういえば‥っ‥今日‥及川さんと約束してるんだった‥』
大地に見つめられてなんだか身体が熱くなっちゃったから
話題を逸らそうと話を変える
「話そらさない」
『だ‥だって‥』
大地のこんな顔知らない
『ま‥待って‥私お風呂‥入ってない‥』
ギュッと抱きしめられると首筋にキスをされて
慌てて大地の背中をぽんぽんとたたく
「じゃあ‥一緒に入るか!」
『‥えっ?!』
床にへたり込んだ私の身体をふわっと抱き上げて
大地が歩き出す
『ま‥待って‥大地‥!!お兄ちゃんいる‥っ‥それに‥大地も早く帰らないと‥お母さん心配するよっ?!』
下着姿のまま部屋をでて堂々と歩いて行くから
慌てて小声で話す
「お兄さんなら友達の家に泊まって帰るって連絡きてたし、うちの母親には花澄ん家に泊まるって伝えてあるから大丈夫」
あっという間にお風呂場について
優しくおろされるとにこにこと笑う大地と目があった
『で‥でもっ‥お風呂はひとりではいれるからっ‥』
まさか本当に一緒にお風呂に入らない‥よね?
おそるおそると大地を見上げると大きな手がゆっくりと背中に回されて
ブラのホックを外される
『っ!!』
パッと両手で前を隠すとまたにこりと大地が笑う
「昨日の事覚えてない花澄が悪い‥」
『お‥思い出したっ‥!!思い出したから‥っ』
ふーんと私の顔をじっと見つめる大地が
私の嘘を軽く見透かしたようにふっと笑う
「じゃあ俺と何したか言ってみなさい?」
『そ‥それはっ‥キ‥キス‥とか‥?』
「その後は?」
『そのあと‥っ?!え‥えっと‥』
必死に昨日の記憶を手繰り寄せるけれどもやっぱり思い出せなくて目を逸らす
『だめっ‥脱がさないで‥っ』
両手で落ちないように押さえていた下着を引き抜かれて
ショーツに手をかける
「じゃあ自分で脱げるか?」