第13章 *それぞれの初めて
澤村side
夜ご飯のおかずを作りすぎたから
花澄ん家に行ってお裾分けしてきてあげてって母親に言われて
俺もちょうど会いたかったし
すぐに着替えて家を出る
玄関のインターホンをならすとバタバタと足音が聞こえて
花澄の兄ちゃんが飛び出して来た
なんでも間違えてお酒を飲んでしまったとか‥
部屋に顔を出すと
一口だけお酒を口にしたらしい花澄と目が合う
紅潮した顔にとろんとした大きな瞳
大人っぽい服装に
髪型も‥顔もメイクしてるのか?
あまりの可愛さに
息が詰まりそうになる程ドキッとした
それに何か‥いつもとは違う見た目ももちろんだけど‥
溢れ出る色気にあてられてドキドキが止まらない
なんだこの色っぽさは‥
ドキドキとしている俺の横で兄ちゃんが身支度を整える
「一口でこれなのよ!びっくりだよな〜!日付が変わるまでには帰る予定なんだけど花澄の事お願いしていい?なんなら泊まってってくれてもいいし!」
『大地ごめんねぇ‥大丈夫なのにねぇ‥』
ふわふわといつもよりさらにのんびり喋る様子をみてると全然大丈夫そうじゃない
「母親にも言っとくから大丈夫!久しぶりに花澄とゆっくりしたかったしな」
「そうか?助かるわ〜!ほんとにありがとな!!じゃあ俺は行ってくる」
そう言うと少し赤い顔をした花澄の兄ちゃんが出掛けて行った
2人きりになったのを確認してから
花澄の横に距離を詰めて座る
他校にまでファンクラブが出来るくらい可愛い花澄
化粧をして髪を巻いていて
普段の私服より随分大人っぽい格好が
さらに色気を増している
正直どの芸能人よりも可愛いんじゃないかと思うほど整った横顔に少し緊張すらしてしまう
『あついね‥お着替えしてもいい‥?』
パタパタと赤くなった顔を手であおぎながらこっちを見るからドキッとする
「おっ‥おう‥暑いのか‥?」
ふらりと立ち上がる華奢な腰を支えながら
花澄の部屋へと入る
『あつ‥いけど‥動けない‥』
入るなりぽすんとベッドに横になって相変わらずパタパタと顔を仰いでいる