第13章 *それぞれの初めて
影山side
「もしかして俺お邪魔だった?!ごめん!」
花澄さんがお兄ちゃんとよぶその男があたふたと慌てはじめる
抱きしめていた腕をゆっくり離すと俺の腕から離れて
お兄ちゃんの横に並ぶ
『影山くん驚かせてごめんねっ‥!私の兄です』
「初めてまして影山君!花澄の兄です」
大きな二重の目が俺を捉えて
優しく笑う
確かに‥
身長差があり過ぎて全く気付かなかったけど
ところどころに花澄さんの雰囲気を感じる
色素の薄い目も
髪も
整った小さな顔も
よく見れば見るほどに
花澄さんにそっくりだった
「妹を送ってくれてありがとう!花澄がよく影山君の話してるから会ってみたかったんだよ〜!」
俺の手を掴んでぶんぶんと握手をする
『お兄ちゃんっ!影山君に絡んだらダメだよっ!困ってるから離してあげて』
「いや〜ごめんごめん!つい嬉しくって!」
『もうっ‥帰るよ!お兄ちゃん少し酔ってるみたいで‥ほんとにごめんね?』
お兄さんの腕を引っ張りながら花澄さんが俺に頭をさげる
「影山君またうちにおいでよ〜」
俺も2人に向かって頭を下げる
ひらひらと長い腕を振りながら歩くお兄さん
『じゃあまたねっ‥!』
花澄さんも俺にバイバイと手を振ってもう一度頭を深く下げる
「ねぇみて‥あの人めっちゃ背高いよっ‥しかも超イケメンじゃない?!」
「でも待って?!隣にいる女の子もやばいくらい可愛いよっ?!何あのカップル!顔面最強すぎない?!」
「何あの可愛い子‥グラビアアイドル?撮影とか‥?」
「芸能人‥?めっちゃ可愛い子とめっちゃイケメンいるんだけど‥」
周りがひそひそと花澄さん達をみて騒ぎ出す
ドラマの撮影かと人が集まりだすくらいだった
そりゃ‥そうなるよな‥
ただでさえ驚く程可愛い花澄さんが
プロのヘアメイクをしたらこうなるに決まってる
なぜか俺が誇らしくなってニヤリと笑ってしまう
「そんな花澄さんと‥俺‥」
一瞬にして蘇る熱の余韻に浸りながら
帰り道をゆっくりと歩いた