第13章 *それぞれの初めて
影山side
腕の中に感じていた温もりが消えている事に気付いてゆっくりと目を開くと
ベッドの横に座って携帯電話を片手にコソコソと話す花澄さんの姿が視界に入る
『だめだよっ‥お酒飲んでるよね‥?歩いて‥?わざわざいいよっ‥暗くなる前に帰るからっ‥』
少し困ったように小声で話す花澄さん
身体の向きを変えて
くびれた腰に両腕を巻き付けるとビクッと跳ねる身体
『っ?!じゃっ‥じゃあねっ‥もうすぐ帰るからっ‥』
そう言うと携帯をきって
顔を赤くして俺の方をみる
「‥誰と話してたんスか‥?」
子供みたいにムスッと唇を尖らせると
恥ずかしそうに眉を下げたまま
電話の相手を教えてくれる
『お兄ちゃんだよ‥もう私高校生なのにいつまでも心配性で‥』
「こんな可愛い妹いたらそりゃ誰だって心配しますよ‥」
『そ‥それよりっ‥恥ずかしいから‥服‥着てもいいかな‥?』
上目遣いで見つめると
大きな瞳が困ったように俺を見る
「‥ダメ‥って言いたいところっスけど‥あんまり遅くなっても俺も心配なんで‥」
渋々と腰に回していた腕を離す
『あっ‥ありがとうっ‥』
顔を赤くしたまま
俺が脱がせた服を手に取ってゆっくりと身につけていく
「俺‥家まで送ります‥」
身体を起こして
脱ぎ捨てた服に袖を通す
『ありがとう‥っ!でも大丈夫だよ?お兄ちゃんが駅まで来てくれるみたいだし‥影山君も部活で疲れてると思うから‥』
「送らせてください‥こんな可愛い花澄さん1人にしたくないんで‥それに‥」
『それに‥?』
さっきまで身につけていた大人っぽいワンピースに着替えた花澄さんが首を傾げる
「俺が激しくしたから‥身体ツラいっスよね?せめて駅まででも送らせて下さい」
『っ!』
突然に赤くなる顔
可愛すぎてもう一回押し倒したいくらいだった
『あ‥ありがとう影山君‥』
照れる花澄さんの頭を撫でてゆっくりと立ち上がると
俺についで立ち上がろうとする花澄さんがふらっとするから慌てて腰に手を回す