第13章 *それぞれの初めて
「できたー!!こーんな可愛い子のヘアメイクさせてもらえるなんてすっごい楽しかったわ〜ありがとね花澄ちゃん!」
影山君のお姉さんは明るくてよくお喋りしてくれる人だったけど
手つきはさすがプロって感じで
喋りながらもどんどんと仕上げていってくれてあっという間にできたみたい
『私にも少し歳の離れた兄がいるんですけど‥お姉ちゃんとこうやっておしゃれの話とかしてみたかったのですっごい楽しかったです!ありがとうございました!』
お姉さんが私の為にと着せてくれたお洋服に着替え終わって
椅子から立ち上がってお礼を言う
高校生の私には少し大人っぽい淡いベージュのリブワンピース
胸元には大きめの黒いボタンが3つついていて
ウエストには同じ素材のリボンがゆるく巻かれている
ぴたりとしたタイトなデザインのワンピースだけど
裾にいくにつれてふわりとフレアな形は歩くたびにふわふわと揺れてとっても可愛かった
「可愛い‥私もこんな妹欲しいっ!飛雄と花澄ちゃんが結婚しますように!」
『ふぇっ?!』
いきなりギュッと抱きしめられて変な声が出てしまう
「さて‥飛雄はどんな反応するかな〜」
お姉さんがニヤリと笑って影山君を大声で呼ぶ
この笑った顔も影山君そっくりでまた顔が緩んでしまう
「‥‥‥」
ガチャリとリビングの扉が開いて影山君が私の前に立つと
目があったまま固まってしまった
『あれっ?!影山君っ?!ど‥どうしたのっ?』
私が駆け寄って見上げるとみるみるうちに真っ赤に染まる顔
『や‥やっぱり熱あるんじゃっ‥?』
もしかしたら今日はやめておいた方がいいのかもしれないと思ってお姉さんの方を振り向くと満面の笑みで私たちを見ていた
『お姉さん‥?』
「ごめんごめんっ!なんか青春っていいなーって思っただけ!花澄ちゃんが可愛すぎて固まってるだけだよ」
真っ赤なまま動かない影山君を気にもとめず
お姉さんは仕事に行く為に荷物を纏めはじめる
「飛雄ー!いつまでも見つめたまま固まってないの!じゃあ花澄ちゃんまた遊びに来てね!」
『本当にありがとうございましたっ!』
颯爽と出ていくお姉さんにお礼を言ってお別れをする