第13章 *それぞれの初めて
『みんなお疲れ様〜!来週は体育祭だね!』
土曜日の部活終わり
コートの片付けをしながら来週に控えた体育祭の話で盛り上がる
「二年はパン食い競争で一年はリレーだったよな?」
『うんっ!そうだよ!大地は二人三脚だよね?みんな応援するからね!』
「俺は旭と走るべ!そーいや花澄ちゃん応援団の応援合戦でるんだって?」
『スガさんと旭さんならナイスコンビですね!応援合戦‥あんまり自信ないんですけど頑張ります!』
応援団の応援合戦は毎年烏野高校の体育祭の名物だった
太鼓にあわせた激しい踊りが見どころで
大きな掛け声と共に力強く舞う姿は
とっても格好良かった
そんな伝統的な応援団に
まさかダンスもしたことのないどんくさい私が入る事になるとは思いもしなかった
「友達の為にも一緒に頑張ろうな?」
『うんっ‥大地が教えてくれるから助かってるよ〜』
実は私のお友達の葵ちゃんが応援団に入ってたんだけど
足を怪我してしまって出れなくなっちゃったから
急遽私が葵ちゃんに変わって出る事になった
応援団長は大地だったし
他の応援団の皆んなも優しく教えてくれて
毎日お昼休みや時間さえあれば練習をして
なんとか追いついた
「あ〜俺も花澄ちゃんでるなら応援団入るんだったな〜西谷と田中は分かるけどまさかの一年組もみんなでるんだろ?ずるいべや〜俺も混ぜろっ!」
菅原さんがいつもの爽やかな笑顔でそう言いながら月島君と影山君の脇腹を突く
「別に‥僕はクラスの連中に無理矢理入れられただけで‥」
「俺はっ‥衣装がかっこいいから立候補しましたっ!」
やる気がなさそうにズレたメガネを掛け直す月島君とは対照的に
日向君はやる気満々でファイトポーズをとる
「そうそう!カッコいいよなー!男子は羽織袴に襷とハチマキ巻いて、女子は羽織袴にさらし巻いてハチマキ‥‥‥」
うんうんと頷きながら喋っていた菅原さんが私の前でぴたりと止まる
『スガさん‥?』
「花澄ちゃんもさらし巻いてその上から袴羽織るの‥?」
『はいっ!そのつもりです!』
「「「っ!!!」」」
周りにいたみんなも急にピタッと固まった