第13章 *それぞれの初めて
『彼氏?どうして‥?』
「ん〜顔赤いし‥?なんか嬉しそうな顔してたから」
『えっ?!そ‥そうかな?!』
「お兄ちゃんまだ花澄の事お嫁にやりたくないよ?!」
少し歳の離れたお兄ちゃんはこうやって両親みたいに優しくしてくれる
『大袈裟だよ〜!彼氏じゃないし‥バレー部の影山君だよ』
無意識に赤くなっていた顔にドライヤーの冷風をかける
影山君の素肌
熱くて大きな影山君のモノが私に触れた時のあの感覚
柔らかな唇と
私とは違う男の人の身体
『っ‥』
「また顔赤くなった!!俺の花澄なのに〜!!」
『ちょっ‥おにいちゃんっ‥くるしっ‥!』
ギュッと抱きしめられていると
また携帯の着信音が鳴り響く
「彼氏か‥?」
じとりと睨まれるけれど
ディスプレイには及川さんの文字
今日はよく電話してる気がする
『もしもし‥及川さん?どうされましたか?』
「花澄ちゃん元気してたー?!及川さんは花澄ちゃん不足で死にそうだよ〜」
なんだ‥及川の弟か‥とお兄ちゃんが呟いてそのままお洋服を脱ぐとお風呂に入ってしまった
『私は元気ですよ!及川さんはすこし元気がないですね‥何かありましたか?』
「俺の心配してくれるの?!やっぱり花澄ちゃんは優しいね〜!月バリに載ってなかったから拗ねてるだけだよ」
『及川さんのプレーたくさんみるの楽しみにしてます!』
こないだの練習試合の時は殆ど見れなかったから
強豪校の正セッターである及川さんのプレーをみるのは楽しみだった
「そんな事言ってくれるの‥やっぱり俺の天使‥ってそれよりね!今週の日曜日空いてる?」
『日曜日は部活もないし空いていますよ!』
「じゃあさ!前言ってた‥俺ん家に遊びにきてくんない?母ちゃんと姉ちゃんが早く会いたいってうるさくってさ〜」
会ったことはないけれど
及川さんのお母さんもお姉さんもきっと明るくていい人なんだろうなと思うと自然と笑顔になる
『ぜひ‥!私で良ければお願いします!』
「2回目のお家デート、楽しみにしてるね?」
『はいっ!』
それからしばらく話をしてから
電話を切った