第13章 *それぞれの初めて
『ただいまー!!』
「久しぶり花澄〜!会いたかった〜!」
家に帰るとお兄ちゃんにギュッと抱きしめられる
『いつも出張お疲れ様!私も会いたかったよ〜!ご飯すぐ作るね!』
「俺の妹やっぱり天使‥」
久しぶりにお兄ちゃんと2人でご飯を食べて
ゆっくりとお風呂に浸かっていると脱衣所に置いていた携帯電話の着信音が聞こえる
『誰だろっ‥』
浴槽から上がって下着を身につけてから携帯電話をみると影山君の文字
部活の事で何か聞きたい事でもあるのかな?
タオルで軽く頭を拭いてパジャマを着てからすぐに電話をかける
『もしもし!影山君ごめんね!お風呂入ってた!大丈夫だった?』
「っ‥俺の方こそ夜遅くにすんません‥‥」
『影山君?大丈夫?』
「大丈夫っス‥ちょっとお風呂上がりの花澄さん思い出して‥」
『えっ‥あっ!そっかっ‥』
受話器の向こうで影山君の照れる気配が伝わってきて
私まであの日の熱が蘇ってきて身体が一気に熱くなる
「いや‥すんません‥あの‥今度の土曜日って空いてますか?」
『へっ?!あっ‥土曜日!部活の後だよね?私は空いてるよ!』
「良かった‥前言ってたデートの約束‥覚えてますか?」
『もちろん覚えてるよ!』
大きな声で返事をすると影山君が少し笑ったような気がした
「一緒に出掛けたいんスけど‥花澄さんの写真みせたら俺の姉貴がヘアメイクしてみたいってうるさくて‥出掛ける前に俺ん家来てもらう事ってできますか?」
『えっ?!影山君のお姉さんすごいっ!ぜひお願いします!』
てっきり影山君は一人っ子なのかと思っていたからびっくりして思わず大声を出してしまう
それにヘアメイクって‥きっとお仕事でやってるんだろうしすごいな‥
ワクワクとしていると影山君がホッとしたように呟く
「っし!‥じゃあ‥土曜日部活終わりに待ち合わせでいいっスか?」
『うんうんっ!すっごい楽しみにしてる!』
「じゃあ‥おやすみなさい‥」
『うんっ!おやすみなさい』
影山君との電話を切って
髪の毛を乾かしているとお風呂に入りにきたお兄ちゃんに顔を覗かれる
「まさか‥彼氏か?」