第12章 合宿の終わり 新たな恋敵
「さっきネットに絡まってるとこ遠くからみえたけど大丈夫っスか?」
『夜久さん!大丈夫でした!見られちゃったんですね‥お恥ずかしいです‥』
恥ずかしくて下を向くと隣に並んで優しく微笑んでくれる
「恥ずかしくなんかないない!あんなところ見せられたらもっと好きになるだけっス」
『え‥?』
聞き返そうとすると夜久さんの身体がびくっと震える
「なんか後ろからスゲー視線感じるんスけど‥」
『え‥視線‥?』
「3番さんのレシーブ凄かったっス」
突然背後から夕の大声が聞こえて夜久さんと2人でギクッとする
「うちのエースのスパイク あんなにちゃんと拾える人初めて見ました あんだけ全員のレシーブのレベルが高いチームで リベロの座に居る実力 やっぱスゲェと思いました」
『夕‥』
「俺も負けないっス!失礼します!」
『えっ?!夕?!そんな一方的に‥ちょっと待って‥』
ガバっと頭を下げて去って行く夕を追いかけようとすると夜久さんに手首を掴まれる
「いいっスよ‥それにしても彼だって相当レベルの高いリベロなのに‥慢心するどころかひたすら上だけを見てる‥恐いっスねぇ」
『後ろから突然すみません‥でも夕があそこまで言うのも分かります』
「夕‥って下の名前で呼ぶんすね?」
『えっ‥夕とはクラスメイトなので‥』
「それに研磨っても呼んでましたよね‥俺も負けてらんないっスね‥とりあえず連絡先教えてもらえますか?」
『あっ‥はい!ぜひ!』
夜久さんとも連絡先を交換して体育館を後にする
龍と猛虎さんが涙を流しながらガシッと手を掴みあっている
龍はいつも他校の人になぜか威嚇しちゃうから
なんだかとっても仲良さそうで安心する
「次は負けません」
「次も負けません あと白石さんうちにくれませんか?」
「絶対にあげません」
ニコニコとしながら大地と黒尾さんも両手で握手を交わしている
『黒尾さんと大地も仲良しになったんですね‥良かった!』
「「っ?!仲良しってか‥恐い恐いっ!」」
私の両隣から菅原さんと夜久さんがやってくる
その向こうで烏養さんも音駒のコーチの人と握手を交わしている