第12章 合宿の終わり 新たな恋敵
『あっ‥いけない‥ネットまだ残ってた‥』
コートの端に置かれたネットを持ち上げて歩き出す
『っと‥わぁっ!』
たらりと垂れたネットの端を踏んでしまって転んでしまうと全身にネットが絡まってしまったようだ
身動きをとれば取るほど絡まって抜け出せなくなる
『だ‥誰か助けてくださいっ‥』
恥ずかしいけれども少し大きな声を出して呼ぶと皆んながこちらを見て目を見開く
「ぶはっ‥なにそれっ‥網に可愛い女の子がかかってるぞ笑」
『黒尾さん‥助けてください‥』
私の横にしゃがんでニヤニヤと笑う黒尾さんに助けを求める
「つーか‥縛られてるみたいでエロ‥」
『‥?』
「あのっ!俺犬岡走って言います!マネージャーさんめっちゃ可愛くて優しいから好きになりましたっ!また音駒のマネージャーしてくれますかっ?」
『へ‥?あ‥犬岡君!うん!機会があれば是非っ!日向君のあの早いブロックに反応してたのかっこよかったです!これからも頑張ってくださいね!』
「え!!めっちゃ嬉しいですっ!」
ワンちゃんが尻尾を振って近付いてきたみたいに私の横でニコニコと笑いながら飛び跳ねている
「うちの花澄さんすっげぇ可愛いだろっ?!つーかお前も凄かったな!デカいのにズバっ!って」
「ショーヨーも凄かったぜ!花澄先輩って言うのか!俺もそう呼びたいっ!」
私の横で日向君と犬岡君がぴょんぴょんと飛び跳ねるからその様子が微笑ましくてつい笑顔になってしまう
「よくこの状況で普通に話せますね‥大丈夫ですか?」
呆れたように近付いてきた月島君と黒尾さんが私に絡まったネットを解いてくれる
『月島君‥いつもごめんねっ‥!』
月島君の両手をギュッと握ると顔を逸らしてしまう
「別に‥日向達がバカみたいに騒いで助けないから来ただけです‥」
「クールだねぇ‥まぁこの状況みて気付かずにはしゃいでるアイツらもすごいけど‥君はも少し高校生らしくハシャいでもいいんじゃないの?」
「そういうの苦手なんで。」
『あっ‥月島君‥』
「まぁ‥いいんでないの?若者だねぇ」
黒尾さんと歩いて行く月島君の背中を見つめる