第12章 合宿の終わり 新たな恋敵
『黒尾さん‥大丈夫ですか?』
「ん‥大丈夫大丈夫‥ちなみに電話は毎日でもしていい?」
『え‥?全然大丈夫ですけど‥』
両手をギュッと握られて黒尾さんを見上げる
「黒尾ー!監督が呼んでるぞ!!」
「ったく‥俺と花澄ちゃんの時間だったのに‥じゃあ行ってくんね?」
海さんの大声で黒尾さんを呼ぶ声が聞こえて黒尾さんが名残惜しそうに私の頭を撫でる
『はいっ!ではまた後で』
「またクロにちょっかいかけられてたの‥?」
背後から突然話しかけられてビクッと身体が跳ねる
「研磨っ!運ぶの手伝うよ!」
たくさんのボールが入ったカゴを押す研磨の横に立つ
「ありがと‥」
『研磨は本当に猫ちゃんみたい‥』
気まぐれの猫のように
近付いてきたり
ぷいっとどこかに行ってしまったり
思わずその金髪のサラサラの髪を撫でると研磨の顔が赤くなっていく
「っ‥」
『ご‥ごめんねっ‥つい‥』
慌てて手を引っ込めようとすると意外とゴツゴツとした大きな手で掴まれる
「いい‥花澄なら別に‥」
赤くなった顔をぷいっと背けながら
私の手をギュッと握る
『ふふっ‥やっぱり猫ちゃんみたい‥』
「それは違う‥猫みたいに可愛いのは花澄だと思う‥」
今度はふわっと研磨が私の頭を撫でるから
突然の事に私の顔が赤くなるのが分かる
「ふふ‥そのびっくりして見開いた大きな目‥猫そっくりだよ‥」
初めてみる研磨の優しく微笑んだ顔に心臓がドキッと跳ねる
「けんまぁっ!人の事言っておきながら今度はお前がナンパかっ!」
監督に呼ばれて行ったはずの黒尾さんがズカズカと大股でこちらに歩いてくる
「うるさいのきた‥じゃあまたね?いつでも連絡してね」
そう言ってニコッと笑うと逃げるようにして行ってしまった
「オイ待て研磨っ?!逃げんのか?!」
そんな2人の背中を見ながら荷物をリュックに詰めて行く
「いつの間にそんなに仲良くなったんですか‥全く花澄さんは‥」
『月島君っ!お疲れ様』
ぶつぶつと不機嫌そうに呟きながら月島君が横を通り過ぎる