第12章 合宿の終わり 新たな恋敵
「冗談冗談!まぁ本当に欲しくなっちゃったけどね‥」
黒尾さんが腰に手を当てながらよしよしと私の頭を優しく撫でる
「クロになんかされたら俺に言ってね?」
『ありがとう?研磨もタオルどうぞ』
「ん、ありがと」
『研磨のプレーもすごいね!目線でフェイントしたり‥あの月島君がつられてたもんね!色々考えて烏野の事揺さぶってるのわかるから‥すごいかっこよかった!』
タオルを渡しながら研磨を見上げるとふと目をそらされる
「はい!!そこもイチャイチャしない!」
黒尾さんが私たちの間に入ってきてそのまま話し出す
「なんか変な速攻使ってきてるけど、俺たちはいつも通りいけば大丈夫だ!花澄ちゃんにもっといいとこ見せるつもりで第二セットいくぞ!」
オー!!とみんなが声を上げてまたコートへと戻って行く
音駒のみんなの背中を見ながら烏野コートをちらりとみる
『日向君は大丈夫かな‥』
日向君の戦い方で真っ向勝負して
その前には犬岡君のブロックが心を挫くように何度も立ちはだかる
これは心が折れそうだけど‥
『〜っ』
日向君は真っ直ぐに前を見つめて笑っていた
音駒のメンバーのみならず
烏野のみんなも息を呑むのがわかった
ピリッと張り詰める空気
お互いの良いプレーに
お互いが引っ張られるようにして高め合って行くのがわかる
『すごい‥これが猫対烏‥ゴミ捨て場の決戦‥』
「そんなキラキラした目で言われたら堪んないねぇ‥もっといいもん見せたくなるよ」
にひひと笑う猫又監督が私に話しかけてくれる
「ギリギリの戦いの中で互いに影響しあいー‥時に実力以上の力を引き出す まさにー‥好敵手か」
鉛筆を握る手に無意識に力が入る
みていてこんなにワクワクする試合なかなかないよっ‥
観客席を見上げると見知った顔の人達が固唾を飲んで見守っているのが分かる
烏野は2回のタイムアウトを使い切って先に20点台にのったのは音駒高校だった
『すっ‥すごいっ‥1人時間差‥かっこいい‥』
烏野も20点台にのって
音駒が1回目のタイムアウトをとる