第12章 合宿の終わり 新たな恋敵
夜久side
試合に集中していない訳ではない
むしろとても集中出来ている
それでも視界の端にうつる白石さんにドキッとしてしまう
俺たちのプレーに目を奪われて
驚いたり
喜んだり
相手チームのマネージャーのはずなのに
すっかり音駒のマネージャーなんじゃないかと思うくらいうちのプレーにも一喜一憂してくれている姿が可愛かった
「俺‥ショート派のはずだったんだけどな〜」
ワンセットとってベンチへと歩き出すと研磨が不思議そうに俺を見る
『みなさんっ‥タオルどうぞ!』
みんなにタオルを配ってくれる今日だけの俺たちのマネージャー
ふとスコアノートに視線を落とすと見やすく丁寧に書かれている綺麗な文字が並ぶ
『夜久さん?良かったらタオルどうぞ!』
「へ?あぁ‥有難うございます」
もう俺たちの名前を覚えてくれたのか一人一人に話しかけながらタオルを渡してくれる
やべ‥俺惚れそうだぞ‥
『大丈夫ですか‥?』
「ん‥大丈夫‥」
少し屈んで首を下げると
安心したような笑顔で背伸びをして俺の首にタオルをかけてくれる
『夜久さんのプレー、とってもかっこよかったです!ボール落ちちゃうっ‥って思っても夜久さんがいて‥すっと伸ばされる手も綺麗で見惚れちゃいました!』
ニコッと向けられる笑顔があまりに可愛くて心臓がドキッと大きく高鳴る
媚びようとかそんなんで言ってないのはわかる
子供が憧れの人を前にしたようなワクワクした口調で話しかけてくる
リベロは他のポジションに比べて華々しさがないから中々目立たないけれど
嘘のないそんなキラキラした目でかっこいいって見つめられたら‥
そんなん好きになっちゃうでしょ
「おーい!やっくん!試合中に口説くの禁止ー!」
「だから‥口説いてないっての!」
黒尾が少し探るような目で俺たちを見る
『黒尾さんもかっこよかったです!みんなすごくって‥目が離せませんでした!』
「‥花澄ちゃん音駒来ない?」
『え‥?』
黒尾に見つめられてきょとんと見上げているその顔も可愛かった
なんでも意見が合わない俺達だけど
ここは合うなんてな