第11章 *合宿 ネコとの出会い
澤村side
やべ‥ちょっと泣きそうかも‥
「‥ありがと」
『っ!』
俺の声が少し変わったのに気付いて抱きしめていた身体が離れて俺の顔を見る
『大丈夫だよ‥大地なら大丈夫!』
今度は俺の顔を花澄の胸元に引き寄せられて優しく背中をとんとんとされる
昔から殆ど花澄の前で泣く事はなかったけど
大事な試合に負けて悔しかった時とか
俺が泣きそうな時は何も言わずに優しく抱きしめてくれた
『お母さんがね、いつもこうやってしてくれたの‥私の胸かしてあげるから泣きたい時は泣いて吐き出したい言葉は吐き出しなさいって』
Tシャツ越しに感じる大きな柔らかな胸に顔を埋める
とくとくと花澄の心臓の音が聞こえてきて安心する
それにしても胸かしてあげるって‥なんだか花澄が言うと違う意味に捉えられそうだから
俺以外には絶対貸さないように今度言い聞かせておこう
『大地はしっかりしてるし‥キャプテンだし‥お家でもお兄ちゃんだし‥我慢しちゃう事も多いと思うけど、私には甘えていいからね!』
ふふふ!と得意げに笑う可愛い花澄
「じゃあ‥」
『うん?』
子供みたいに花澄の胸に抱きついて言いにくい本音を話し出す
「毎日一緒に帰ってたのに最近はスガん家に泊まってるし‥好きな子が他の男の家に泊まんのはすっげぇ嫌だ‥いつの間にか及川とも仲良くなってるし、月島と影山なんかスキンシップ多いし‥」
子供が駄々を捏ねるみたいで恥ずかしくなってくる
「俺‥花澄の事、出会った時から好きだった‥でもこの気持ち伝えたら今みたいな関係もなくなるかもって思って怖くて伝えられなかった‥けど」
顔を上げて大きな瞳をまっすぐに見つめる
「伝えずに花澄が他の男に取られる方が嫌だ‥」
『大地‥』
「花澄の一生懸命なところ、誰にでも優しくて人の為に頑張れるところ、心が綺麗なところ、どんくさいところも全部ひっくるめて花澄が好きだ」
『っ‥』
パッと見開いた大きな瞳が少し揺れるのがわかる
言葉の意味を理解した花澄の身体が熱をもって
顔が赤くなる