第11章 *合宿 ネコとの出会い
烏養さんどこかな‥?
練習メニューの事についてちょっと相談しようと思ったけれども烏養コーチが見当たらなくて探しまわっていると自動販売機の方から烏養さんの話し声が聞こえてくる
『烏養さ‥んむっ‥』
話しかけようとして歩き出すと急に口を塞がれてびっくりして見上げると大地と東峰さんだった
『大地っ‥どうしたの‥?』
「しーっ‥!俺らも今通り掛かったんだけど‥」
こそこそと小さな声で話しながら指をさす
『ん‥?スガさん‥?』
こっそりと覗き込むと烏養さんと菅原さんの姿がみえる
「次へ進む切符が欲しいです それを取ることが出来るのが俺より影山なら‥迷わず影山を選ぶべきだと思います」
『っ!!』
大地を見上げるとしーっと人差し指を口にあてたまま耳を澄ましている
「大地と旭と一年の時から一緒にやってきました 一緒のコートに立ちたいです 1プレーでも多く。支えてくれた清水や花澄ちゃんの為にも ひとつでも多く勝ちたいです」
菅原さんのいろんな想いが伝わってきて涙が溢れてくる
そんな私を大地がふわっと優しく包み込んで
着ていたジャージで涙を拭いてくれる
「正セッターじゃなくても出ることは絶対諦めない その為によりたくさんのチャンスが欲しい」
しばらく黙って聞いていた烏養さんが口を開く
「俺はまだ指導者として未熟だが‥お前らが勝ち進む為に俺にできることは全部やろう」
「お願いします!」
菅原さんがぺこっと頭を下げる
菅原さんは三年生だから次がない
試合にだって出来ればたくさん出たいと思う
それでもいろんな葛藤を乗り越えて、この言葉を烏養さんに伝えたんだと思うと言葉が詰まってでてこない
『大地‥東峰さんっ‥』
絶対に勝ってほしい
その為だったら私だって何だってしたい
ギュッと拳を握りしめると大地と東峰さんが私の手をギュッと握って小さく呟く
「‥気合い入れんぞ 一回でも多く勝つ」
大地が強い決意で前を見据えると
東峰さんが上を向いて力強く答える
「おお」
「花澄も‥サポート頼むな‥」
『うんっ‥!がんばるっ!』