第10章 *合宿 それぞれの想い
『宜しくお願いします!』
握った手をぶんぶんと握手しながらもう一度頭を下げるとグイッと黒尾さんの顔が近付いてくる
「申し訳ないけど俺東京から来たから場所はわかんないんだよね〜!一緒に探そっか?」
『東京からですか!!なんかかっこいいですね!』
「こんな可愛い子にかっこいいとか言われたら照れるね〜!とりあえず連絡先交換しない?」
さっと私の前に携帯が差し出される
大地には知らない人に連絡先教えたらダメだよって言われたけど
黒尾さんはいい人みたいだし‥いいよね?
「っし!登録完了っと!いつでも連絡してね!それで‥体操服着てるけどなんかの部活中とか?」
連絡先を交換して黒尾さんが立ち上がる
ほんとにおっきいな‥月島君と同じくらいかな‥?
『はいっ!バレー部のマネージャーしてるんですけど‥皆んなの場所わかんなくって‥』
「まじ?!男子の?」
『はいっ!男子バレー部です!黒尾さんももしかして‥バレー部ですか?』
2人で歩き出しながら話し出す
身長が高くてとっても脚が長い黒尾さんの一歩はとても大きいはずなのに
私の歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれる
「ビンゴー!俺たち運命感じるね〜!」
『ふふっ‥ほんとですね!!』
「ちなみに‥何高?」
『私はからす‥日向くんっ?!』
目の前に日向君と知らない男の子が見えてきて思わず声を上げて駆け寄っていく
「カラス‥ね」
後ろから黒尾さんもやってくる
「なに‥なんでクロは女の子連れてんの?ナンパ?」
ケータイを持った男の子は気怠そうに黒尾さんと私を見上げている
「研磨!!ナンパなんて人聞きの悪い!人助けだ!ひとだすけ!」
『研磨さんっ!!初めまして!私白石花澄です!宜しくお願いします!』
ブロックに腰掛ける研磨さんの前にしゃがみ込んで握手をすると顔を真っ赤にして固まってしまう
「‥よろしく」
小さな声で答えてくれたから嬉しくてニコっと笑うと目を逸らしてしまった
「さては花澄ちゃん‥天然人たらしだな?研磨が女の子にこんな照れてんの初めてみたわ‥」
「‥照れてないし‥行くよクロ」