第10章 *合宿 それぞれの想い
ドキドキとうるさい心臓
影山君が触ったところは熱を持ったようでジンジンと熱い
『ちょっと落ち着かなきゃ‥』
冷たい水で洗い物を済ませて火照った身体を冷ます
「ごちそうさまでした〜!!!そろそろ俺ら準備してくんねー!」
菅原さんの大きな声が聞こえてきて慌てて食堂に顔を出す
『はいっ!!行ってらっしゃいです!私も片付けが終わったらすぐに向かいます!』
「待ってるぞ!‥なんか顔赤いけど大丈夫か?」
大地が私の顔を覗き込んでくるからドキッとしてつい目が泳いでしまう
『えっ?!大丈夫っ!なんでもないよっ!!』
まだ顔赤かったんだ‥洗い物で冷たくなった手を顔に当てて熱を冷ます
「ならいい!ご飯うまかった!ありがとな!ご馳走様!」
わしゃわしゃと大きな手で私の頭を撫でて大地達がでていく
みんなが美味しかったっていいながらニコニコ出て行くから私も嬉しくなる
気持ち切り替えなきゃっ‥!!
まだ少し熱が燻る身体に気付かないふりをして片付けを進める
片付けを終えて体操服に着替えて皆んなの元へとむかう
坂道ダッシュするって言ってたけど‥こっちだったかな‥?
大地が渡してくれた手書きの地図を見ながらどんどんと進んでいくけれども一向に皆んなの姿が見えない
『あれっ‥ここどこ‥?』
去年も来たはずなのに全く違う道を進んでしまったのか人気のないところに来てしまった
しばらく進むと目の前に黒いTシャツを着た背の高い男の人をみつけて声を掛ける
『あのっ‥すみませんっ‥!!ここに行きたいんですけど‥道分かりますか?』
「ん‥?ちっちゃ!!つーか可愛いっ!」
目の前に立つその人はとても背が高くてかがみ込んで私の顔を覗きこむ
『初めまして!突然すみません!』
ぺこりと頭を下げるとその人はしゃがみ込んで右手を差し出してくれる
「初めまして!俺黒尾鉄朗って言うんだけど名前は?」
そっと手を差し出すと大きな手で握手をしながら優しい笑顔で微笑んでくれた
『私は白石花澄です!迷子になっちゃったみたいで‥』
「花澄ちゃんね!宜しく!」