第10章 *合宿 それぞれの想い
みんなの朝ごはんを作るために早めに設定したアラーム音が小さく鳴り響く
『起きなきゃ‥』
動こうとすると月島君に抱きしめられている事に気づいて心臓がドキッと跳ねる
『びっくりした‥私が昨日間違って潜り込んじゃったんだった‥月島君ごめんなさい‥』
月島君を起こさない様にゆっくりと腕の中から抜け出す
そーっと扉を開けて廊下へと出ると大地が立っていてビクッとする
『わっ!大地!!おはようっ!』
パタパタと駆け寄るとニコッと笑う大地の目が笑っていない
「おはよう‥早くに目が覚めたら何故か花澄は月島の布団で月島に抱きしめられたまま寝てるし‥一体どういう事だ‥?」
ずいっと大地の顔が近付いてくるから思わず後退りする
『うっ‥ごめんなさいっ‥』
「ごめんなさいじゃわかんないべ?」
ニコニコと笑う大地の眉がピクピクと動く
これはとってもとっても怒ってるやつだっ‥
『っ‥わたしが‥寝ぼけてまちがえて月島君のお布団に潜り込みました‥』
消えいりそうな声でなんとかやっと答える
「っ‥!!!」
『ごめんなさい‥』
「それで‥何かされたのか‥?」
さっきまで笑っていた大地の顔が今度は真剣な瞳をして私の顔を覗き込んでくる
何か‥
昨日の夜の事を思い出してバッと顔が赤くなる
でもあれはきっと月島君も寝惚けていて覚えていないはず‥
俯いたままなんて答えようかと迷っていると先に大地が話し出す
「なにか‥あったんだな‥。とりあえず今すぐ聞きたいけど、そういう訳にもいかないから‥また帰ったらじっくり聞かせてくれるか?」
優しく頭を撫でてくれる大地の顔が少し歪んでいる様な気がして胸がチクンと痛む
『っ‥ごめんなさい‥』
「そんな泣きそうな顔しない!」
両手でギュッと顔を挟まれる
『はい‥!』
「とりあえず聞きたい事は山のようにあるから合宿帰ったら花澄ん家行っていいか?」
『うんっ!大丈夫だよ!』
「おはよー!2人とも早いねー!」
菅原さんもやってくる
『おはようございます!菅原さんも早いですね!私は食堂行って朝ごはん作ってきますね!』