第10章 *合宿 それぞれの想い
月島side
花澄さんがお風呂に入りに行ってから随分時間が経つ
大丈夫か‥?まさか倒れてたりしないよな?
眼鏡を拭きながら考える
いや‥長風呂なだけか‥?
そんな事を考えていると影山と日向が風呂場に忘れ物をしたからと2人で出て行った
暫くすると体操服を手に持った日向だけが部屋に戻って来る
「王様はどうした‥?」
「ぉわっ?!何だよ月島!!びっくりするじゃんか!」
「2人で出て行ったのに何で王様はいないのかな?」
「??知らねーよ!何か慌てて隠してたみたいだけど!」
隠す‥?風呂場で‥?
嫌な予感がして立ち上がるけれども先輩達にガシッと肩を掴まれる
「月島〜どこ行くんだよっ?!」
「田中さん‥ちょっと外出るだけです‥」
「大富豪やんぞー!!月島の分これな!」
にこにこと菅原さんにトランプを渡されてついため息を吐く
「一回だけですからね‥」
早く終わらせて花澄さんを探しに行こうと思ったのに中々勝負がつかず時間がかかってしまった
急いで部屋を出てお風呂場へと向かうと人影がみえてくる
「は‥?何であの2人抱き合ってんの‥?」
遠くに見える2人の姿
段々と近付いていくと影山が花澄さんを抱きしめているのが分かって一気に頭に血が上る
「‥王様は花澄さんの事抱きしめて何してんの?」
後ろから声を掛けると顔を真っ赤にした花澄さんが声を上げる
『月島くんっ?!』
声を掛けたらすぐに離れるかと思ったけど
花澄さんを抱きしめたままこちらを睨んでくる
「別に‥お前には関係ない‥」
なるほど‥これは花澄さんとなんかあったな‥
いつもだったら茶化してやるんだけど情けないくらい自分でも余裕がないのが分かる
早く手を離せよ‥
睨み返すとやっと解放される小さな身体
何を言うのかと思えば
そんな僕たちの間に入ってきてギュッと手を握って歩き出す
『私が遅かったから心配して来てくれたんだよね?!月島君もごめんねっ!みんなでお部屋帰ろう!』
子供の喧嘩を仲裁するように優しい笑顔
可愛いけどさ‥後で問い詰めるしかないな