第10章 *合宿 それぞれの想い
影山side
えへへ‥と照れながら笑う姿に拍子抜けしてしまう
つか‥この人マジでよく今まで無事だったな‥
俺が言うのもおかしいけど、あんなことされておいてお礼言えんのか‥?
人を疑うとか‥ないのか?
あんな姿
絶対誰にも見せたくないのに
この人はきっとどこまでも純粋で良い人で疑う事も知らないから
強く迫られたら拒めない
「俺の‥彼女になってください‥」
そうしたら絶対俺以外のやつには触れさせねえし
誰にも渡すつもりもない
今のままでは堂々と守れない
『えっ?なんて‥?』
「俺の彼女になって欲しいです‥花澄さんの事‥俺だけがめちゃくちゃにしたいから」
華奢な身体をギュッと抱きしめる
『えっ?!えっと‥影山君‥?ほんとに‥?』
「ほんとのほんとです‥誰にも渡したくない‥」
抱きしめる腕に力を込める
『えっと‥突然でっ‥まさか影山くんが私の事‥』
ワタワタと俺の腕の中でもがいていたのに突然ピタッと止まるから顔を見てみると火が吹き出そうなほどに真っ赤になっている
『ありがとうっ‥嬉しい‥!でも‥自分の気持ちが分からなくって‥バレー部の皆んなの事は大好きだし‥もちろん影山君の事も大好きだよ?だからこそ分からなくって‥』
耳まで真っ赤にしながらもどんどんと頭を垂れていく
『せっかく伝えてくれたのに‥ごめんなさい‥』
「謝らないで下さい!俺が‥必ず、俺の事好きにさせてみせますからっ‥返事はいつでもいいです。」
『影山君‥』
「‥王様は花澄さんの事抱きしめて何してんの?」
『月島くんっ?!』
俺に抱かれたままあたふたと慌て出す花澄さん
「別に‥お前には関係ない‥」
「へー‥そうなんだ‥そろそろ手離しなよ?」
月島がすごい顔で睨んでくる
いつもだったらへらへらとムカつく笑みを浮かべてんのに
今はその余裕もないらしい
「言われなくても‥」
パッと小さな身体を離す
『私が遅かったから心配して来てくれたんだよね?!月島君もごめんねっ!みんなでお部屋帰ろう!』
俺たちの手をそれぞれ握って引っ張るように花澄さんが歩き出す