第9章 *合宿 止まらない気持ち
結局今日は授業中ずっとその事を考えてしまってあまり集中できなかった
体育館へと歩いていくとすでにボールの音がする
影山君かな‥?
入り口からヒョイっと中を覗くと案の定影山君の姿がみえる
『影山君っ!!昨日はありがとうね!!』
後ろから声を掛けてしまったからかビクッと影山君の身体が揺れる
「っ!!花澄さんっ‥」
『わっ!!ごめんねっ!驚かすつもりはなかったんだけどっ!!』
慌てて謝るとくすりと笑ってくれる
「大丈夫ですよっ‥」
『そうだっ‥ジャージ‥洗って持ってこようと思って菅原さんのお家に忘れてきちゃって‥明日でも大丈夫かな?』
「え‥?スガさんの家っスか‥?」
影山君の顔が少し曇る
『う‥うん!今菅原さんのお家に泊めてもらってるの!』
そう伝えた途端に両手で肩を掴まれてグイッと影山君の顔が迫ってくる
「泊まりって‥なんでっ‥?」
『え?えっと‥話すと長くなるんだけど‥菅原さんのお母さんが怪我しちゃったからご飯作るお手伝いに‥そしたら私の兄が出張で私1人になっちゃうから泊まっていきなさいって言ってくれて‥!』
「そっスか‥花澄さんのそーゆう底抜けに優しいところ、好きです。」
『へっ?!あ‥ありがとうっ!』
菅原さんとの事もあって
好きって言う言葉に敏感に反応してしまう
きっと影山君はそんな意味で言ってるんじゃないのに
「でも‥それは妬けますね」
さらにグイッと顔が近付いてきて唇が触れそうな距離になる
『焼ける‥?なにを‥?』
「スガさんだけずるいって事です‥俺だって花澄さんとお泊まりしてみたい‥」
人と関わるのが少し苦手そうな影山君がそんな事を言うなんてちょっと意外だった
『でも明日から合宿で一緒に泊まれるよ?』
「それは‥皆んないるじゃないっすか?」
『みんなじゃない方がいいの‥?ワイワイ楽しいけどな‥』
「俺は花澄さんを独り占めしたいんで」
『っ?!!』
影山君の唇が軽く私のおでこに触れる
「おース!!花澄ちゃん!影山!2人とも顔赤いけど大丈夫か?」
後ろから菅原さんの声が聞こえてびくりとする
『大丈夫っだよね?!』
「うス!」
短く返事をするとそのままコートの向こう側に行ってしまった
突然の事にドキドキとして固まってしまう