第9章 *合宿 止まらない気持ち
「いよいよ明日から合宿ね!!今日で最後なんて寂しくなるわ〜!ほんっとうに何から何まで感謝しかないわ〜!!」
菅原さんのお母さんがギュッと抱きしめてくれる
『いえいえ!お母さまの腕もよくなってきて良かったです!また何かあればいつでも言ってください!!私もとっても楽しくて素敵なご家族だなーって思いました!』
軽い程度の骨折だったみたいだから徐々にリハビリを始めるみたい
数日はお料理しなくてもいけるように今日は帰ってきたら沢山作り置きをしておこうと思う
「あ〜かわいいっ!!離したくないわっ!」
菅原さんのお母さんだって本当に綺麗で可愛い人だ
元気で明るくて‥この数日で大好きになった
私もギュッと抱きしめる
「さ!!それくらいにして!!俺らは学校行くべ?」
菅原さんがぽんぽんと私の肩を叩く
『はいっ!!じゃあ行ってきますっ!!』
いってらっしゃいとみんなに見送られて菅原さんと家を出る
「すっかりうちの母ちゃんも花澄ちゃんの虜だわ〜!本当に誰からも好かれるってすげーよな!」
『えっ?!誰からも好かれてるのはスガさんですよっ!』
駅までの道を2人で歩いていると急に菅原さんが歩くのをやめる
『スガさん‥?どうしました?』
菅原さんの顔を覗き込むと急に真剣な眼差しに捉えられて目が離せなくなる
「嬉しい‥けど、俺は‥花澄ちゃんに好かれたい」
『‥?私はスガさんの事好き‥ですけど?』
「っ‥」
少し眉を寄せて何かを考え込んでいるみたいだった
「その‥好きじゃなくって‥男として‥好きになって欲しい‥」
『男‥として?』
「うん‥花澄ちゃんの彼氏になりたいって事」
彼氏‥?
『えっ?!』
突然意味を理解して急に身体が熱を持つのが分かる
「今すぐじゃなくていいから‥いつか俺の事好きになってくれたら‥俺と付き合ってね?!それまでガンガンアピールするから!」
さっきまで真剣な顔をしていた菅原さんがビシッと私の方を指さして笑う
『へっ?!は‥はいっ!』
「覚悟しとけよ?」
ニヤリと笑って
つんっと人差し指でおでこを突かれる
「さ!行くべ?」
何事もなかったかのように私の手を引いて歩き出す菅原さん
バレー部の皆んなの事は好きだけど‥
彼氏になるって‥どんな好きなんだろう?