第9章 *合宿 止まらない気持ち
「‥2人でこんなところで何してたんだ‥?」
少し低い声にビクッとする
『ごめんなさいっ!サボってたんじゃないからね?月島君が私の虫刺されみてくれてたのっ!』
そう言うとぺこりと頭を下げて月島君は先に体育館に歩いて行ってしまった
「虫刺され‥?大丈夫か?顔もなんか赤いな?」
大地が心配そうな顔をして近付いてくる
『あっ‥あのっ‥大丈夫っ!虫刺されじゃないって!』
パッと首筋を右手で隠す
「ふーん?首筋‥ねぇ?」
探るような眼差しについ目を逸らしてしまうと
大地に右手を掴まれて首筋が露わになる
「これって‥そうか‥月島もやっぱりか‥まぁ好きにはさせんがな」
両腕を組んで大地がふふふ‥と笑うけれど目が笑っていない
なんか‥怒ってる?!
『大地っ‥?怒った‥?』
おそるおそる見上げるといつもの笑顔に戻る
「怒ってないよ!いや‥怒ってる!スガん家から帰ったら説教だな!」
ハハハ!と豪快に笑う
『えー?!お説教?!』
泣きそうな顔で言うと大きな手でいつもみたいにワシャワシャと頭を撫でられる
「冗談冗談!さ、みんな待ってるし体育館戻るべ?」
「まぁ‥あながち冗談ではないけどな」
最後の言葉は小さくて聞き取れなかった
『うんっ!戻ろっか!』
大地と体育館へ戻ると影山君がこちらへ駆け寄ってくる
「花澄さんっ‥大丈夫でしたか?アイツに何もされて無いっすか?」
『大丈夫だよっ!虫刺されじゃなかったの!心配かけてごめんね!』
「‥なんか増えてません?」
月島君がつけたしるし 隠れてないのかな?!
『きっ気のせいだと思う!でもみてくるね!』
「えっ?花澄さん?」
救急箱から絆創膏を取り出してお手洗いへと駆け込んだ
『わっ‥赤い‥』
洗面台の鏡を見ながら襟元からチラリと見える赤いしるしの痕に絆創膏をはる
『これでよしっ!』
体育館へと戻るけれど珍しい位置に絆創膏を貼っているからか
その日は皆んなに何があったか聞かれて大変だった
『は〜今日も疲れましたね〜!』
菅原さんのお家まで帰って来て
お風呂上がりにお布団へゴロンと寝転ぶ
「疲れたな〜!もうすぐ合宿だしな!コーチも気合い入ってんべ」
横に菅原さんもぐーっと両腕を伸ばしながら寝転んで
ふと目があった