第9章 *合宿 止まらない気持ち
菅原side
駅に着いて電車を待っている間にもっともらしい理由をつけて花澄ちゃんの手を握るとニコッと嬉しそうな顔をして手を握り返される
でたこの破壊力抜群の笑顔‥
この子はどこまで純粋で綺麗なんだろう‥
そんな穢れも知らないような花澄ちゃんの白い首筋には今朝俺がつけた紅い痕が控えめに主張している
動いたり下を向いた時にだけ制服のシャツからチラリと見えるところにつけたから本人も気付いていないようだ
俺の隠し切れない独占欲の印
昨日の夜あんなに可愛くて乱れた姿を見て
本当に誰にも渡したくないって思った
爽やかくんって呼ばれる俺には似ても似つかわしくないほどの感情
「おっかしいな〜何でこんなに我慢できなくなったかな〜?」
『へっ?!我慢っ?!大丈夫ですか?‥お手洗い一緒に行きますかっ?!』
あたふたと慌て出す花澄ちゃんをみて吹き出してしまう
相変わらず可愛いんだから
いつもより何本か早い電車に乗りこんで学校へと向かう
少し空いた車両の中だけど花澄ちゃんを引き寄せて俺の腕の中へと収める
『ありがとうございますっ‥』
少し顔を赤くして下を向く花澄ちゃんの鼓動がトクントクンと伝わってくる
ちょっとは意識してくれてるんだろうなと思うと嬉しくなった
本当可愛い‥
何事もなく最寄駅に着いて
学校へと2人で歩いて行く
「おはよう花澄ちゃん!‥横の人は彼氏かな?」
学校に着くと校門前を箒ではいている作業服姿の若い男が俺を見つけて少し睨みながら声を掛けてくる
『あっ!賢人さん!おはようございます!バレー部の先輩の菅原さんですよっ!』
大きく手を振って駆け寄って行く後ろ姿を見つめながら西谷の言葉を思い出す
なるほど‥確かにいい気はしないな‥
俺をみて軽く挨拶をするけれど、すぐに花澄ちゃんの方をみて何か話している
2人で笑い合っている姿をみてモヤモヤとした気持ちが心を埋める‥てか何で下の名前で呼んでんだよ‥俺なんかずっとスガさんなのにっ‥
一瞬その男が花澄ちゃんの首筋をみて目を見開いた気がした
他の男に手を出されない為につけた痕のせいで
まさかあんな事になろうとは、その時の俺は知る由もなかった
『スガさんお待たせしましたっ!』
一緒に校舎へと歩いて行く