第9章 *合宿 止まらない気持ち
賢人さんの手には何か容器が握られている
『ご苦労様ですっ!それは何するんですか?』
「あぁ、これ?これはね、水槽の金魚が病気しちゃってるからお薬いれにいくんだよ!一緒にみる?」
『えっ!それは大変‥かわいそうですね‥私部活に行くところで‥でも少しだけなら大丈夫だと思うのでお手伝いしてもいいですか?』
「もちろん!」
2人で水槽にお薬をいれて お掃除したら餌をあげたり
早く良くなるといいな‥と思いながら水槽を眺めていたら賢人さんが私の後ろから話しかけるから今朝のことを思い出してビクッとしてしまう
「花澄ちゃんが手伝ってくれたからきっと元気になるわ‥ってどうしたの?」
『なっ‥なんでもありません!そろそろ私行きますね!準備があるので!ありがとうございましたっ!』
バッと頭を下げてその場から逃げ出すように体育館へ向かう
なんだか悪いことしちゃったな
とぼとぼと歩いていくと体育館の前で菅原さんと大地が立っている
『あれ‥どうしたんですか?』
「花澄ちゃん!大丈夫?遅かったから心配したよ〜!」
「悪いけど、スガから話は聞いてる。大丈夫か?」
『わっ!スガさん!遅くなってごめんなさい!大丈夫です!ちょっと金魚のお手伝いしてたら遅くなりました!すぐ着替えてきますね!大地も‥心配かけてごめんね!』
「俺らの前でまで無理しなくていいからな?」
大地の優しい声に少し泣きそうになるから顔を見ずに答えて更衣室へ向かう
『うんっ!大地もスガさんもっ‥ありがとうございます!』
体育館へ戻るとみんなが寄ってくる
「遅かったな〜!どうした?大丈夫か?」
「花澄がいないとみんなソワソワしてんよ!」
夕と龍に肩を組まれる
『みんな〜!遅くなってごめんね!大丈夫だよ!今日も頑張ろうね!』
やっぱりバレー部のみんなのことが大好きだ
優しくってかっこいい
私はみんなの為に頑張りたい
合宿まであと少し
みんなが水分補給をしている時にスッと隣に月島君がやってきた
「なんか‥あったんですか?笑顔作ってるけどなんか元気なさそうだし‥言いたくなかったら言わなくて良いですけど」
メガネを直しながらこちらを見ずに話しかけてくれる
やっぱり月島君はよく見てるなぁと思わず感心する