第9章 *合宿 止まらない気持ち
菅原side
今日も電車はすごい人
通勤と通学の時間が重なるから仕方ないけど‥
花澄ちゃんが倒れないように壁際に立たせてあげたかったけど
乗ってくる人の波に押されてどんどん中央へと行ってしまう
せめて前からは守ってあげないと
吊り革を持ちながら前を死守するように立つ
こんな満員電車で 立っている状況なのに
連日の寝不足で睡魔がやってくる
気付いたら眠ってしまっていたようで
ギュッと花澄ちゃんが制服のシャツを掴んできて目を覚ます
ん‥?震えてる‥?
俺の制服を掴む手が小さく震えている様な気がした
大きな目にも涙が溜まっている
なんかあったのか?!
「っ?!ごめん!俺寝てた?!って花澄ちゃん‥どうした?!」
ビックリして大声を出すけれど
少しホッとした様な顔をする花澄ちゃん
満員電車‥疲れただけ‥なのか?
少し混乱していると俺の手をギュッと握ってくる
「えっ?!なんかあった‥?」
自分から手繋いでくるなんて今までなかったし‥やっぱりなんかあったのか?もしかして‥まさか痴漢?!
花澄ちゃんの後ろにいる男
ここ数日一緒に電車に乗っただけだけど
そういえば毎日近くにいた気がする
一気に頭に血がのぼる
次の駅に着いて
そそくさと降りようとするそいつを睨みつけて追いかけていこうとすると
『スガさんっ‥大丈夫‥大丈夫ですから‥手‥繋いでてもいいですか?』
震える手でギュッと握られるから少しでも落ち着かせてたげたくてギュッと握り返す
「大丈夫‥でもごめん‥こうさせてくれる?」
周りの目も気にせず花澄ちゃんを抱き寄せて俺の腕の中に収める
「きっとこうしてたら誰も手出せないはずだから‥」
くそっ‥俺が一緒についていながら何してんだよっ‥
自分が情けなくなる
『スガさんっ‥ありがとうございます!優しいですね』
嬉しそうに柔らかい笑顔で上を見上げてくるからたまらなくなってさらにキツく抱きしめる
この笑顔守ってやれなくてどーすんだよ‥
俺の胸に抱きしめるとふにゃりと笑う
『ちょっと苦しい‥けど スガさんの心臓の音安心しますね?』
手の震えもおさまったようで俺も少しホッとする
そのまま最寄駅まで抱きしめたまま過ごした