第3章 一年後 始まり
大地side
花澄の両手を壁に押さえつけたまま
「花澄はもっと危機感をもちなさい」と散々伝えてきた言葉を再度伝えるも
相変わらずきょとんとした顔ではてなを浮かべている
きっと何のことだか全く分かってないんだろうな
そうしていると
『ごめんなさい。。気をつけます!』
と反省した顔で答える
一応聞いてみるか、、と聞いてみたが
『えっと、、こけないように気をつけるとか??』
チラチラとこちらを見上げながら確認してくる
ほらみろ
「やっぱり分かってない」
「今日だけでも何回他の男に触れられた??」
「覚えてないくらい触られたんだ??」
次々に早口で捲し立てる
俺が怒っていると思ったのかうるりと涙を溜めた目で見上げてくる
その顔‥逆効果なんだよな
さらにいじめたくなってしまう俺はダメなやつだろうか?
「そんな可愛い顔したってダメだからな?」
『大地怒んないで‥仲良くしたいよ?』
こんな可愛い顔で、こんなこと言われて
いますぐにでも抱きしめたくなってしまう
残っている理性を掻き集めて話を続ける
『どうしたらいいの‥?』
と困り顔の花澄
お前が他の男に手を出されないようにちゃんと伝えておきたい
「誰でもかれでも連絡先を教えない事!簡単に触らせない事!誰にでも優しくしすぎないこと!男はすぐに勘違いするから」
『勘違い??したらどうなるの??』
そっと屈んで柔らかな花澄の頬に軽いキスをする
「こーゆう事されるかもな?だから気をつけなさい」
本当はほんのり紅いその小さな可愛い唇にキスしたかった
まぁそれはいつか付き合えた時にとっておこう
大きな目がハッとさらに大きくなり
何かに気付いた様子
これで少しでも危機感をもってくれたらいいんだがな、、
花澄の頬にキスした事を今更になって恥ずかしくなり
気を紛らわせるようにいれてくれたココアに手を伸ばし
赤くなった顔を見られないように顔を逸らす
これ以上ここにいたら我慢できないかもしれない
花澄にお礼を言って俺は家に帰った
その日の夜は
頬の感触、雨に濡れた姿を思い出して中々寝付けなかった