第9章 *合宿 止まらない気持ち
影山side
昨日から少し腰に違和感を感じて嫌な予感がする
早めにテーピングしてもらっとこう
「あの‥」
可愛い後ろ姿に話しかけるといきなりびっくりしたのか聞いたことの無い声
『ふぁっ?!はい?!どうしたの?』
いちいち可愛いから困る
「すんません。あの、ちょっと腰が痛くて‥テーピングとかってお願いできたりしますか?」
『えっ?!それは大変っ!大丈夫だよ!でも腰のテーピングとなると‥ここでは出来ないから保健室行こっか!』
「うス‥」
そっか‥確かにここでは無理か
思わぬ2人きりになれるチャンスに心の中でガッツポーズをする
『では、影山君と保健室に行ってテーピングしてくるので終わったら帰って来ますね!』
東峰さんに声を掛けてくれて
2人で保健室へと向かう
保健の先生は放課後はもういないから
勿論2人きりだ
『じゃあ影山君、上のお洋服脱いでもらってそこの椅子に座ってもらっていいかな?出来たらそのまま前屈みになってもらえる?』
「お願いします」
Tシャツを脱ぎ捨てて前屈みになる
『よし!じゃあテーピングしていくんだけど、腰だから‥ちょっと恥ずかしいと思うけど少しズボンずらしてもいいかな?』
「はい‥大丈夫っス」
おずおずとズボンとパンツをずらされる
『ごっごめんね‥あんまり見ないようにするからね‥』
顔を見なくても声で照れてるんだろうなって分かる
花澄さんになら見られても‥なんて考えてたら丁寧な手つきで手際よくテーピングが貼られていく
俺は知っている
休み時間にたまたま図書館の前を通った時に大量の本を広げながら勉強していた花澄さん
何の本を読んでいるのか気になって
目を凝らして見ていると後ろから声を掛けられてビックリする
「偉いよな〜あれ、全部テーピングとかマッサージとかの本 俺たちの為に勉強してくれてんだよ。家でもお兄さん相手に練習してるんだってさ」
ポンと肩に手を置いてキャプテンが笑う
ふわふわしてそうで‥努力家なところ
そんな事聞いたら‥余計に好きになるだけだ
黙々とテーピングをしてくれている花澄さんに話しかける
「あのっ‥前した約束‥覚えてくれてますか‥?」
無かったことにされたら困るから この機会に約束を取り付けておきたい