第9章 *合宿 止まらない気持ち
急いで乗り込んだ電車の中
なんだか今日はいつもより特に人が多くて
背の低い私は人の波に飲み込まれそうになる
『わわっ‥スガさんっ‥』
電車が揺れて周りのみんなも体勢を崩すからつられて私も倒れそうになる
「花澄ちゃんっ!大丈夫?!」
私の手首をグッと引いて菅原さんの方に引き寄せてくれる
『あぶないところでした!ありがとうございますっ!』
私を壁の端に寄せてくれて
両手を壁につけて守るように立ってくれる
「あとちょっとだから頑張ろうな?」
上から覗き込むように話し掛けてくれるとっても優しい顔
私も菅原さんみたいに、みんなを包み込んであげられるような素敵な人になりたい
暫くすると電車が先程よりも激しく揺れて
菅原さんがグッとこちらに寄って密着する形になる
密着する身体
菅原さんの心臓の音
「ごっ、ごめん‥ちょっとだけ我慢してくれる?」
心臓の音がドキドキと早くなるのが分かる
『私は全然大丈夫です!スガさんこそ苦しそうですけど大丈夫ですか‥?私が変わってあげれたらいいのですが‥』
心配そうに見上げるとプハっと吹き出した
「大丈夫っ!ありがと!花澄ちゃんに守ってもらうのも悪くないけど、ここは俺に格好つけさせてくれる?」
『は‥はいっ!守ってくれてありがとうございます!』
ギュッと抱きつくともっと心臓の音が早くなった
「満員電車も悪くないな‥」
菅原さんが呟く
『?なんて言いましたか?』
「なーんでもない!あと一駅がんばんべ!」
『はいっ!宜しくお願いします!』
なんとか最寄駅に着いて電車から降りる
「なんか今日は人多かったなー!気分悪くならなかった?大丈夫?」
菅原さんの方が疲れたはずなのに私の事を気遣ってくれる
『スガさんのおかげで私は全然大丈夫ですっ!スガさんこそ大丈夫でしたか‥?』
ニッと笑ってグーサインをする
「なら良かった!俺も全然大丈夫!好きな子くらい守れなくてどーすんだってね!さ!行くべ!」
そう言って歩き出す菅原さんに慌ててついていく
『私もっスガさんのお役に立てることがあれば何でもするので言ってくださいね!』
菅原さんが急に立ち止まる
「なんでも‥ね?」