第3章 一年後 始まり
大地side
『やっと着いたね〜大地もびちゃびちゃになっちゃったね〜』
ここは花澄の家だ
花澄の両親は共働きで今は2人とも海外に転勤中だ
歳の離れた兄と2人で暮らしているが兄も仕事で夜が遅いようで家にいない
俺の家より花澄の家の方が近いので雨宿りで少し寄らせてもらうことにした
『どうぞ〜タオルだよ!拭いたら温かいココアでもいれよっか〜!』とタオルを持ってパタパタと走ってくる
「っっ!!!」
外は暗くてよく見えなかったが部屋の明かりで照らされたその姿にドキッとする
細くて艶のある髪の毛からは水が滴り落ち
一生懸命走ったせいか頬はほんのりとピンクに染まり
ハァハァと少し荒い息遣い
雨で濡れたブラウスが肌に張り付き
体のラインがより強調されている
白い制服はすっかり透けて
中に着ているであろうキャミソールも意味をなさず
淡いピンクの下着がみえてしまっている
いつもはかわいいがよく似合う幼い顔つきなのに
今はいけない事を想像してしまいそうになるくらいの色気が溢れ出している
思わず俺はバスタオルを受け取りバサっと花澄の上から被せた
『わっっ!!前が見えないよ〜!!』
「そんなビチャビチャだと風邪ひくでしょうが!!先に拭きなさい!」と平常心を保つ為タオルで隠れた花澄の頭をゴシゴシと拭く
一緒に帰ってたのが俺だけで良かった。。
こんな姿、他の奴らには絶対に見せたくない
バレー部のほとんどの部員が花澄の事を狙っているのは気付いていた
『私もちゃんと拭くから大地がお先にどうぞ!』とタオルを俺に渡してくるので
「ちゃんと拭きなさいってば」と取り返して拭いてやる
じゃないと、俺が持ちそうにない
好きな子のそんな姿みて我慢できる男子なんかそうそういない
俺だってそうだ
抑えてきた気持ちも一緒に溢れ出してしまいそうで
バスタオルに花澄を丸め込んで自分のタオルをとりにいく
「その姿は反則だって。。。」
聞こえないように小さく呟きため息をつく
小さい頃から何回も来ている花澄の家
バスタオルを一枚とりガシガシと乱暴に頭を拭く
花澄が用意してくれたお兄さんの服を借りて部屋へ向かう