第3章 一年後 始まり
そして練習が終わる頃
キャプテン!!!といきなり外から大声が聞こえてビクッとする
私はコートの片付けをしているから何を話しているかまではよくわからない
なんだったんだろう、、、?
制服に着替え終わり男子更衣室の下で大地が出てくるのを待つ
「だ〜れだ?!」
いきなり視界が真っ暗になってびっくりしたけど声の主はすぐにわかった
声の主の手を掴み、おろして振り向く
『スガさん!!お疲れ様です!!影山くん達大丈夫でした?』
「大丈夫大丈夫!!ただ色々あって今度の土曜日試合する事になったから明日からきっと朝練する気だべ。田中が珍しく鍵持って帰るって張り切ってたから、あれはきっと行く気だろうな」
にひひといたずらそうな顔で笑う
『龍が?!起きれるのかな〜色々心配だから私も行っていいですかね??』と見上げると
私の口に人差しをそっと添えて耳元で囁く
「大地には内緒ね?」
『!!』
突然の事になぜか心臓がドキっとして体温が上がり自分でも顔が赤くなるのがわかる
コクコクと頷く
「何が俺には内緒だって?」と大地が後ろから歩いてくる
「内緒なもんは内緒だよな〜花澄ちゃん!2人ともまた明日〜!」
ひらひらと手を振りながらスガさんが帰っていく
『は〜い!また明日〜!!気をつけて帰ってくださいね〜!』とわたしも手を振りかえす
「花澄?顔少し赤いぞ?大丈夫か?」と大地がしゃがみ込んで私の顔を覗き込む
『へっ?!大丈夫だよ〜!!帰ろっか!!』
「そうか??待たせてごめんな!帰るか!」と大地と同じ方向に歩き出す
家も近いし、夜も遅いので心配だからっていつも大体家まで送ってくれる
練習たくさんして疲れてるのに、きっと早く帰ってゆっくりしたいはずなのに
大地は私の歩く歩幅にあわせてのんびり歩いてくれる
するとポツポツと雨が降り出したかと思えばあっという間に大雨になる
「花澄走れるか?!」
『うん!!大丈夫!!』
ぬかるむ地面に足を取られる私をみて大地が手を繋いで走ってくれる
『はぁっ はぁ ごめんね!私走るの遅くって‥!』
「そんな事いいからこけるなよ!あと少し頑張るぞ!!」
大地の大きい手はすっぽりと私の小さな手を包み込んで力強く握ってくれる