第9章 *合宿 止まらない気持ち
菅原side
旭が戻って来て、西谷も戻って来てくれた
花澄ちゃんの嬉しそうな顔を思い出す
本当‥良かった
影山にああ言ったからには俺も頑張らないとな
急いで着替えて花澄ちゃんと校門へ向かう
ちょこちょこと走ってついてきてくれる
きっとめっちゃ疲れてるはずなのに俺たちがお腹空いてないか心配してくれてる
でもこの時間から夜ご飯作ってもらうのも申し訳ないな〜と思っていると
家族全員で迎えに来てくれてて、皆んなで夜ご飯食べに行こうとの事で
ホッと胸を撫で下ろす
作ってくれるのはめちゃくちゃ嬉しいけど
今日はさすがにゆっくりしてもらえて良かったと思う
車に乗り込んでシートベルトを閉める
先に花澄ちゃんが乗り込んだから、俺と弟で花澄ちゃんを挟む形になる
育ち盛りの中学生と高校生男子が後ろに座ると
いくら小柄な花澄ちゃんが真ん中でも肌が触れ合う程には近かった
「疲れてるところごめん!大丈夫だった?」
耳元にそっと話しかけると
ぴくんっと花澄ちゃんの肩が跳ねて
少し耳が赤くなった
『んっ‥だっだいじょうぶ‥ですっ!楽しみです!』
いつもの可愛い声とは少し違う
少し鼻にかかった甘い声
隣で俺の弟が固まったのが分かる
だから、中学生には刺激強いよね?!
「ーっ!そ そっか なら良かった!」
も、もしかして‥耳弱いのか‥?
ちょっと息がかかったほどなのに‥敏感すぎない?
純粋過ぎるほど真っ白な彼女から
こんな色っぽい声がでると思わなかった
これは‥ちょっと意地悪してみたい‥
俺の中のイタズラ心がチラリと顔を出す
今日はよっぽど疲れてたのか
車が走り出してほんの数分
こくりこくりと、頭が揺れ出したと思うと
こてんと寄りかかって寝てしまった
俺の弟に‥
「くっそ‥まぁ‥でも 今日も俺の部屋で寝てくれるし‥今は我慢してやる」
俺の方に引き寄せたかったけど家族の前でそんな事できっこない
ちらりと横を見ると
顔はもちろん、耳まで真っ赤で
背筋を真っ直ぐにして固まっている弟が少し可哀想になってきた
そりゃこんなに可愛い年上のお姉さんが自分に寄りかかって寝て来たら堪らんよねぇ
誰でもその気にさせちゃって
ほんと困ったもんだよ