第8章 *新しいチーム 始動
2人だってショックなはずなのに
私が落ち込まないようにわざと明るくしてくれてるんだろうな
そんな2人の気持ちに応えるように私も笑顔を作る
『そっそうだよね!あの2人なら‥大丈夫!だよね!』
「おう!大丈夫だべ!俺らは花澄ちゃんの笑顔見てるだけで幸せだからさ、あんま悲しい顔しないでね?」
「そうそう!花澄はいつものふにゃふにゃの笑顔で笑って、俺たちの事見守っててくれたらいいの」
『スガさん‥大地‥ありがとう‥ございます』
ニコッと2人が笑う
そんな2人をみて、何とかなる気がしていたけれど
翌日、夕と東峰さんが言い合いをしていて
夕が花瓶を割ってしまって 夕は部活禁止、停学になってしまった
そんな2人が‥
今目の前で
同じコートに立っている
「‥‥‥思うよ」
東峰さんが何かポツリと呟いた
夕も不思議そうに振り向く
「何回ブロックにぶつかっても もう一回 打ちたいと思うよ」
固く握りしめた拳と東峰さんの表情をみてまた胸がギュッとする
その言葉はしっかりと夕にも届いたようだ
「ー‥それならいいです それが聞ければ十分です」
次の瞬間
ふぅーと息を吐いてより一層深く腰を落として構える夕の姿は
鳥肌が立つほどカッコよくみえた
2人の間に出来た溝が一気に埋まるような感覚
お願いっー‥このまま‥2人が前みたいに戻って‥
ハラハラとしながら試合の行方を固唾を飲んで見守る
そして‥東峰さんにトスがあがる
ギュッと目を瞑って両手を握りしめる
『東峰さんっ‥』
どうか‥東峰さんが自信を取り戻しますようにっ‥
バシンっ!
と重たい東峰さんのアタックの音が響く
パッと目を開くとボールはブロックに弾かれて
床に落ちそうになっている
『ああっ‥ダメっ‥?!』
床に着く ほんの数秒前に
床とボールの間にスッと掌が滑り込む
反応した夕が飛び込んで伸ばした掌は見事にボールをキャッチして上へと上がる
ゾクゾクと体が震える
すごい‥すごいよ夕っ!
我慢していた涙がまた止めるまもなくこぼれ落ちる
「ノヤっさん‥!」
試合中の龍までも目に涙をためている
カッと上を向いて夕が立ち上がり叫ぶ
「だからもう一回 トスを呼んでくれ!エース!」
ブワァッと体の体温があがる