第8章 *新しいチーム 始動
「や やめろよ西谷!俺が旭にばっかりボール集めたから疲れて‥」
「俺に上げたってどうせ決めらんねーよ」
菅原さんの言葉を遮るように東峰さんが呟く
その瞬間、夕の目つきがさらにキツくなって
ズンズンと東峰さんの方に歩いて行く
これは、ヤバいやつだっ
後ろから夕に抱きついて止めようとするが
私の弱い力じゃ全く止められない
抱きついている私の事なんか全く気付かないほど熱くなった夕は東峰さんの胸倉を掴む
「打ってみなきゃわかんねぇだろうが!つぎは決まるかもしれないじゃねーか!」
慌てて菅原さんが走ってくるのが見える
「花澄ちゃん危ないっ‥西谷っ」
目の前で大きな音を立ててバキンッとモップの柄が割れる
さらにキツく夕は東峰さんの胸倉を掴むから
その瞬間私は振り払われるように後ろへ倒れる
「俺が繋いだボールを アンタが勝手に諦めんなよ!」
『いてて‥』
「大丈夫かっ?!」
大地が駆けつけて心配そうに私の顔を覗き込んだ
『私は‥平気だよ‥』
興奮して抑えが効かなくなっている夕を今度は後ろから龍がガッチリと押さえ込む
まだ怒りが収まらない夕
「俺はリベロだ!守備の要でチームの要だ!けど!
‥‥‥‥俺に 点は 稼げない」
『ーっ!』
悔しそうな顔に息が詰まる
周りのみんなが息を呑むのも伝わって来て
龍がそっと手を離す
「‥俺は‥「攻撃」ができない でもどんなにスパイクが決まんなくたって 責めるつもりなんか微塵もねえ だけど 勝手に諦めんのは許さねえよ」
キッと東峰さんを睨みつけると
東峰さんはそのままでて行ってしまった
『東峰さんっ‥っいった‥』
急いで追いかけようと立ち上がるけれど、飛ばされた拍子に足を挫いていたみたいで再びしゃがみ込む
「花澄!?どうした?!捻挫か?!」
大地や菅原さんが私の肩を支えて歩いてくれる
『ごめんなさい‥夕と東峰さん‥どうなっちゃうんだろうねっ‥』
下を向いて唇を噛むと大地が明るい声で答える
「あいつらなら大丈夫に決まってる!それは花澄もよく知ってるだろ?それより‥そんなちっさい体でいつも無鉄砲に飛び出す花澄の方が俺は心配だよ」
「そーだよー!俺らの大事なマネージャーなんだから!」
なっ?と2人が笑顔で私の方をみる