第8章 *新しいチーム 始動
弟くんが菅原さんに話に行ってくれて暫くすると、脱衣所のドアがほんの少しだけ開いて
その隙間からそっと服が差し出される
「これ‥俺のだけど良かったら着てもらっていい?母ちゃんもう寝ちゃっててパジャマ借りれなくって」
申し訳なさそうな菅原さんの声が聞こえる
『スガさんすみませんっ!助かります〜!ありがとうございます!』
菅原さんから受けとったTシャツとショートパンツを身につける
『わ‥これウエストゴムだからずり落ちちゃうや‥』
ショートパンツのウエストがゴムだからとめることも出来ず、どう頑張ってもストンとずり落ちてしまう
『まぁTシャツで隠れてるからいっか‥』
ショートパンツを履く事を諦めて、Tシャツ一枚だけを身につけて
お布団を用意してくれたと言っていた菅原さんの部屋へ向かう
コンコン
部屋をノックすると どうぞー!と中から菅原さんの声が聞こえる
『お邪魔しますっ!』
「どうぞどうぞ〜!散らかってるけどね!それにしても母ちゃんも強引でごめんな〜!」
そう言いながら振り向いた菅原さんがピタッと固まった
『?スガさん?どうしました?』
両手で顔を覆って菅原さんが下を向く
「あれ‥俺、ショートパンツ渡してたよね?」
『お洋服ありがとうございました!ショートパンツなんですけど、私にはどうしても大きくってずり落ちて来ちゃって‥スガさんのTシャツおっきくって、ワンピースみたいに隠れるからTシャツだけお借りしました!』
深く頭を下げると、また菅原さんがどこか違う方向をみながら答える
「そっ、そっか‥!でもちょっと待ってね‥そのままじゃ俺が持たないかもだから‥」
『もたない‥?』
ゴソゴソと菅原さんがクローゼットの中を漁っている
「あったあった!これならウエストに紐が入ってるから結べるんじゃないかな?」
相変わらずこちらを向かないまま、スエットのパンツを渡してくれる
『有難うございます!』
菅原さんは向こうを向いているし、その場でパッと履いてみる
相変わらずぶかぶかだけど、ウエストの部分でギューっと紐を結ぶとなんとかずり落ちずにとまってくれた
『いけました〜!有難うございます!』
「まじ!良かった良かった〜!」
やっと菅原さんがこちらをむく
「っ!これはこれでやべーかも‥」