第8章 *新しいチーム 始動
菅原side
それからはドキドキしてなかなか部活に集中できなかった
「っさん!〜!」
何か聞こえた気がして振り返ると誰かが打ったスパイクが目の前まで飛んできていて焦って避ける
っぶね〜!
休憩の合図とともに大地が心配そうな顔で近付いてくる
「スガ!どうした?今日なんかボーッとしてないか?」
花澄ちゃんが家に来てくれる事考えてました、なんて言えねーよな
「ごめんごめん!ちょっと考え事してたわ!もう大丈夫だから!」
大地の肩にポンと手を置くと そうか?と少し安心した顔で去って行く
毎日一緒に帰ってるから、大地も嫉妬するだろうな〜
そんな事考えてたらパタパタと走ってきた花澄ちゃんに耳打ちされる
『スガさん!夜ご飯何食べたいか考えててくださいねっ!』
ニコッと笑って去っていくその姿が可愛すぎて両手で顔を覆う
「まじで同棲カップルの会話みたいじゃん。。」
「同棲カップル?!何の話っすか?!」
田中がまた俺の顔を覗き込みながら近寄ってくる
「なーんでもないべ!!さっ集中集中!」
まじで集中しないと顔がにやけっぱなしになりそうだからパンパンと両頬を叩いて気合いを入れる
「はー?!また!教えてくださいよー!」
「田中ー!はじめるぞー!」
大地の声で練習が再開する
花澄ちゃんの方をみたら意識しちゃうから出来るだけ見ないようにして何とか部活を乗り切った
片付けが終わって大地と他愛もない話をしながら部室へ向かっているとパタパタと駆け寄ってくる小さな影
『大地!今日からちょっとの間スガさんと帰るね!』
思ってもない事を言われた大地が立ち止まって目を見開いている
「えっ‥とそれはどういう‥?」
『スガさんのお家で夜ご飯作るの!』
「なっ?!」
大地がすごい顔をしてこちらを見てくるから慌てて補足する
「じ‥実は俺の母ちゃん腕骨折しちゃっててさ!それ話したら花澄ちゃんがちょっとの間夜ご飯作るって言ってくれてさ!」
「そ‥そうか!それはお母さん大変だったな!スガ‥花澄の事頼んだぞ!」
勢いよく笑ってるフリしてるけど、ちょっと笑顔が引き攣ってる
そんな顔に気づかないフリして親指を立てる
「オウ!任せといて!」