• テキストサイズ

イケメン戦国 書き散らかした妄想

第11章 恋慕3−2 花の裁き ヤンデレEND【家康】R18


後ずさった彼女を捕らえ、腕の中に閉じ込めた。

「だめ、もうやめて!離して!」

身体を押し開いてもほとんど反応せず、人形のようだった昨日とは打って変わって、

叫び、身を捩らせ、両方の拳で家康の胸を打ち、必死に暴れる。

この抵抗が初めて抱いたあの夜のようで、そんなに前でも無いのに何だか懐かしかった。

非力で哀れで、愛おしい。

どんなに暴れたって、どうせ堕としてしまうのだから。

しばらく抱きしめたまま抵抗を受け止め続け、どう籠絡していこうかと考えあぐねた。







睡眠は不十分、ろくに食事をとっていない名無しの体力での抵抗は、やがて急激に弱まっていった。

ここ数日で色々ありすぎて、心身ともにギリギリの状態。

呼吸がしづらくなり、先程までピンと張り詰め、奮い立たせてていたものが緩んでいく。

「…あぁ…」

体に力が入らなくなり、家康の腕に縋りながらズルズルとしゃがみこんでしまった。

「名無し、大丈夫?」

家康もしゃがみこんで胸に抱きとめ、上向かせた。

こうなる事も想定していた。

落ち着き払って懐から小さな水筒を取り出し、彼女の唇にあてがう。

「飲んで、ゆっくりでいいから」

それは少し甘い飲み物。

体力維持に必要な栄養が摂取でき、食事のできない患者に与えるもの。

時間をかけて、全部素直に飲んでしまうと、名無しの様子は徐々に落ち着いてきた。

「…俺は名無しさえいてくれれば、それでいいのに」

冷たい牢の空気の中、まりあは家康の体温に包まれ胸の鼓動を感じ、心地よい声を聞いていると、思考がじわじわとほどけていく。

心に渦巻く様々な懸念から理性では拒まざるをえないけど、本当は大好きなひと。

瞼を開いて、ぼんやりとした瞳で家康を見上げる。

「そう…俺を見て…名無しの瞳には、俺だけを映して」

家康も彼女の瞳を覗き込んだ。

「ああ…名無し…好き…心から…」

抱きしめる腕にぎゅっと力を込めながら、家康が囁く。

「私も…」

名無しの唇から思わず零れた本心。

『好きじゃない』と、先程は言ったのに。

彼女の理性が緩んで、今は心がむき出しになっている状態なのを家康は悟り、胸の中でほくそ笑んだ。 
/ 392ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp