第11章 恋慕3−2 花の裁き ヤンデレEND【家康】R18
厳重に見張りを配備した地下牢。
階段を降りるごとにひんやりとしていく空気を吸い込みながら、高揚感を覚える。
昨日、閉じ込めた彼女をめちゃくちゃに抱いた後、家康はようやく自分の本当の感情を認めた。
他の男とできていたって、
逃げようとしていたって、
そもそも横恋慕しているだけの自分に責める筋合いなんて無い。
信長への黒い嫉妬の炎が狂おしいほど胸を焦がし、名無しの心も身体も自分だけのものにしたいという欲望が膨らんでいた。
それを現実にするきっかけを心のどこかで待っていて、彼女の逃走の計画は絶好の機会になったのだ。
それに、冷静になってみればわかる。
あの会話の感じ、名無しと忍びの男は深い仲ではない。
自白剤を飲ませた時、
『信長さまが知ったら…家康にどんな処罰が下るか…そんなの耐えられない‥‥。ずっと築いてきた信長さまとの兄弟みたいな関係が‥‥私のせいで壊れたら!‥‥』
叫ぶように悲痛な声で心情を吐露した彼女にかけた言葉。
『俺は罰せられたっていいよ。気持ちを抑えられず、名無しに無理に手を出したのは俺だ。すべて受け入れる。それに、どんなことだって状況がいつまでも同じとは限らない。信長さまの気が変わるかもしれない。いつか許してくれる時が来るかも』
それは自分本位で浅はかだった。
現に懸念や不安の払拭には全くならず、彼女は姿を消そうとしたのだろう。
あの忍びの男には、その手助けを依頼しただけに違いない。
階段をすべて降りると、鉄格子の向こうに名無しはいた。
とにかく今はもう、彼女は自分の手に堕ちたのだ。
乾いた嗤いがこみ上げる。
家康の姿に気づくと、名無しは鉄格子に駆け寄ってきた。
「家康!ここから出して!」
鉄格子を摑み、ガチャガチャと激しく揺さぶったり、届かないのに家康に向かって必死に手を伸ばしたり。
「ふーん…昨日は人形みたいに大人しかったのに。全然違うね」
様子の違いに家康は驚いたが、籠の中の鳥に抵抗されるのも悪くないと思った。
「出してよ!お願い!」
「あんた、感染病にかかったことになってるから。皆、心配してた」
「え‥‥」